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From:斎藤 一
Sub:
Time:2011/01/29 22:06
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月が綺麗だ


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一さんからメールに思わず窓の外を見る


「月?」







もしかして薄い雲の向こうにぼんやりと光るあれのことだろうか

存在の確認だけで精一杯なそれ



くっきりと浮かぶオリオン座のほうが目を引く









それとも一さんの家からはきれいなお月様が見られるのだろうか

いくら遠距離恋愛とはいえそんなことはない、はず








「ええと…」






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To:斎藤 一
Sub:Re
Time:2011/01/29 22:13
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オリオン座もきれいですね



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うん、こんな感じでいいかなあ








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From:斎藤 一
Sub:Re:Re
Time:2011/01/29 22:31
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ああ、オリオン座も綺麗だな






少し電話してもいいか?

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少し時間を置いてメールが返ってきた



どうかしたのだろうか





私は「もちろんいいですよ」と返信した






間もなくして携帯が震え出す





着信は言わずもがな一さんだ










「もしもし」

「いきなりすまんな」


「いえ、どうかなさったんですか?」





「その…お前は理系だったか」


「え?あ、はい」





「そうか…ならば仕方ないな」









携帯の向こうで一さんがくすりと笑う声がした



確かに私は理系で一さんは文系だったけど…文系じゃなければわからないことでもあるのだろうか








「それがどうかしたんですか?」



「ん?ああ、今はわからなくてもいいが…いつかはわかってほしいものだな」










ますますわからない

私は首を傾げてもう一度窓から夜空を見る


月はやはり薄雲に覆われたままだ













「千鶴、」


「はい」




「お前の声が聞けてよかった。それじゃあおやすみ」




「…あ…おやすみなさい。わ、私も一さんの声が聞けてよかったです!」





どういう意味かと尋ねようとしたがそのタイミングは逃してしまった










あ、お隣りの平助くんは確か文系だったはず


今度会ったら聞いてみよう





























「え」
「どうかしたの?」
「あ、いやいやいや!」

「?」


「一くん、やるなあ…」









20100129
企画サイト「恋、募る」さまに提出!

空がテーマということで夜空→月→漱石にたどり着きました(笑)
遠恋は「同じ空で繋がってる」的なちょっとクサい感じで…

ロマンチスト斎藤さんです


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