昨日の夜、テレビで流れていた天気予報の"明日は一日中雨"という言葉に俺は期待を抱きながら布団に入った。
だけど朝目が覚めても窓の外から雨音はしない。カーテンを開けて空を見るとそこにはただ灰色の空があるだけだった。


「天気予報なんか信じるものじゃないね」


一日中雨という天気予報は見事に外れ、雨なんか全く降っていない。降り出しそうな雲が空を覆っているけど朝に降ってくれないと意味がない。無駄に期待をしてしまった自分が痛く思えた。

苛立ち枕を一度殴ってベッドから出る。壁にかかっている時計の長針はまだ下を指している。起きるにはいつもよりまだ少し早い時間だ。それにまだこの時間だと千鶴は起きていないはず。とりあえず制服に着替えて一階で準備をしてそれから起こしにいってやろう。




「千鶴、朝だよ」
「…………」
「起きて」
「……か…おる……?」
「そう。起こしにきてやったんだから起きなよはやく」


案の定千鶴の部屋に足を踏み入れ、ベッドに近づくとまだ千鶴は夢の中にいた。やっぱりと思いながらベッドに腰かける。広がる髪や薄く開いた口。ちょうど目にとまるそれらに触れたい衝動に駆られ無意識に髪を撫でながらそう口にしていた。その返答としてかわいらしい口からは俺の名前が出て、たまらない。
額にかかっている前髪を払いもう一度起きろという。俺の声を聞いてバカみたいにゆるく笑うもんだから空いた額にでこぴんをしてやった。



「俺はもういくから、遅刻するんじゃないよ」



痛いと額を押さえる千鶴を横目にベッドから離れる。こういう時に風紀委員というものが煩わしく思う。所属していなければ本来は余裕な時間なのに。

千鶴の部屋を出て階段を降りながら途中にある窓からもう一度空を見た。やっぱりまだ雨は降りそうにないらしい。もしも雨だったら傘に入れてやるからと一緒に登校できた。そういう約束みたいな決まりが俺たちにはあったから。だけどここ最近は朝に雨が降らない。最後に一緒に登校したのはいつだっただろう。思い出せない。

一階につくと母さんに朝ごはんをどうするか聞かれた。少し悩んだふりをしていらないといえばそれじゃあこれ持っていきなさいとメロンパンを押しつけられる。いらない、とはいえなかったからありがとうと弁当と一緒に鞄にしまう。教室についたら誰かにやろう。


それじゃ行くからと靴を履いてドアを開ける。雨が降るかもしれないから一応傘を持って。いってきますと外に出るとやっぱりただ灰色の空。何時確認したってかわらない。






少し歩いてからわざと傘を忘れて帰りは千鶴の傘に入れてもらえばよかったことを思い出してしまった。今日は、ついてない。


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