「千鶴」


「はい」





「好きだ」






「私、も」














さんさんと日の光が入ってきて眩しい



俺達が寝転がるラグは千鶴がここでひなたぼっこをするのにぴったりだと買ってきたものだった




白くて、ふかふか、太陽の匂いを沢山吸い込んで温かかった







光に当たっていつもより茶色に見える千鶴の黒髪を掬う


指からさらさらと落ちる感覚が気持ちいい











次第に彼女の胡桃色の瞳は閉じられていく






「眠いか?」




「…はい」






抱き寄せると千鶴は俺の胸に顔を埋めた


千鶴からはこのラグと同じ太陽の匂い









「…おやすみ」







返事を聞く前に千鶴は眠りに落ちた



規則正しい寝息と共に動く身体が呼吸を知らせる






寝心地のよいラグに加えて人の体温もあるから尚更眠りを誘うのだろう













俺は起こしてしまわぬようにその場をあとにする





千鶴も、俺も、二人でいるという事実はあの頃と何ひとつ違わないのに。


























「ただいまー」




「おかえり」







「あら、千鶴は?」




「寝てる」






「もう、またあんな端っこで寝て」









隣にもうひとり寝られるんじゃない?、と呆れたように笑う母さんにそうだなと苦く、笑った















rug lag ragout


(ひなたにまどろんだら、この関係をとろ火にかけよう)















20101227
企画サイト「恋、募る」さまに提出

わいわい家族パロにしようか迷いましたが甘め切なめ兄妹パロにしました

タイトルは全てラグ、と読みます

敷物、ずれ、フランス語でシチュー。最後のあおり文はそれらの意味から


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