「うなじって、興奮しない?」

何事か、と皆が一斉に総司の方へ視線を投げかけた。対する総司の視線の先には洗濯物を干す雪村の姿が。

「どうした総司、熱でもあんのか?」
「やだな左之さん、僕は至って正常だよ。ただね、ここから千鶴ちゃんの事見てたらさ、ちょっと舐め上げたくなっちゃって」

総司の言葉を受け、今度は視線が雪村へと集中する。白く透き通るような肌にうっすらと生えるあわい産毛が、なんとも色気づいているように見えてすぐに目を反らした。ゴクリ…、誰かが生唾を飲み込む音が聞こえる。

「た、確かに…千鶴ちゃんのうなじ、綺麗だなぁ」
「お、お前ら千鶴を変な目で見てんじゃねーよ!」
「そういう平助は顔赤いよ?」
「うるせぇ!一くんなんて耳真っ赤じゃんか!」
「何故ここで俺に振る」

ニヤついた総司の視線から逃れようと、さりげなく耳を隠す。動揺が耳に出るとは、俺もまだまだだな。

「うなじ…もいいけどよ、俺は鎖骨派だな。薄い肌にくっきり浮いた鎖骨って、噛みつきたくなんねぇか?」

左之が雪村の方を向いたまま、目を細めるようにして言う。少し口角が上がっているのは無意識なのだろうか。

「お、おい左之さん!千鶴の鎖骨なんていつ見たんだよ!」
「この間千鶴が廊下で思いっきりコケたとこに出くわしてよ、起き上がらせたらちょっと着物がはだけてて、それでな」
「ずっりぃぞ左之!その奥まで見てねぇだろうな!?」

その奥。それはつまり胸元という事か。普段男装してはいるが、雪村も女だ。まだそんなに歳を重ねてはいないと言っても、当然女性特有の胸の柔らかさはあるだろう。
なにやら話の流れがおかしくなってきた。

「そういえば千鶴ちゃんって、胸大きいのかな?」
「総司ぃぃぃいい!!」
「あはは、助平だなあ。顔が真っ赤だ」
「助平じゃねぇ、平助だ!」
「おい助平、お前はどっちだと思う?」
「助平じゃねぇし!お、オレは…サラシで潰してんじゃねぇかって…」
「って事は、巨乳って事か?俺も巨乳に一票」
「左之もか!俺も巨乳だと…嬉しいよな!」
「新八さんのはただの願望じゃないですか。あ、一くんはどう思う?」
「…俺、は、」

こんな話題で俺に振ってくるなんて、とは思ったが皆も答えている事だ。答えないわけにもいくまい。洗濯物に精を出す雪村の方へ視線を投げると、偶然目が合って彼女は優しく笑みを浮かべた。


大きかろうと小さかろうと構わない、と思う

「うお、斎藤お前男前だな!」
「僕は貧乳派かな。自分の手で育てたいじゃない」
「総司、お前もう今日黙ってろ」
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