※学パロ











千鶴が喋る

柔らかな声が俺の耳に伝わって心地好い



なんでこいつの唇ってこんなにきれいなんだろーか


かさかさしてんの見たことねえ


いつもつやつや、すべすべしてんの





たまにグロス?ってやつ塗ってるときあるけどあれもすっげえ好き









付き合って2週間


まだ手を繋ぐのもぎこちなくて、いちいち顔赤くするもんだから俺はそれ以上…キスすらしてない



左之さんがまだしてねえのか、なんて笑うから今日は余計にそわそわする


さっきから千鶴の話に相槌は打つものの実際は右から左








「……それじゃあ」






ああほら
いつもの別れ際


千鶴は繋いだ手を離すのを惜しんでいる



最終的にはその小さくて細い指で俺の指にためらいがちに触れて離れる





毎回こんな感じ、なのに今日は違った





「平助くんは、私のことあんまり好きじゃ…ない?」






俯いてぽそりと呟く千鶴





思わず「へ?」なんて間抜けた声が出てしまう





俺、いつだってお前にベタボレなんだけど







言い逃げのように踵を返して帰ろうとするもんだから俺は彼女の腕を掴む












「なあ、ちょっと待って。どうしてそんなこと思うわけ?」




「…そ、れ…は」




急にもごもごと恥ずかしそうに口ごもる


そして俺に掴まれていない方の手を口元に運ぶ


唇が隠れて見えるのは千鶴の掌







一一一ああ、そっか








「手、どけてよ」


「え?」







千鶴の手がどけて唇が見える










あーもう心臓うるさい



落ち着いて心の中で深呼吸






「千鶴、キスしてもいい?」








千鶴は弾かれたように顔を上げて赤くして、くすりと笑う






「笑うなよ。…お前だって真っ赤だっつの」






俺と千鶴の頬は夕焼けで赤いのか、そんなこと問うまでもなく

初めて交わしたキスのぎこちなさが愛おしかった











(うわ、唇ってこんなに柔らかかったっけ)


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