恋は数年前に事故にあい、


両脚を骨折し、


治っても一部に麻痺が残ると宣告され、


もう歩けないとまで言われていた。



今、少しずつ歩けるようになってきたのは


担当医が言うには奇跡に近いらしく


それは恋の心の強さが


ここまでの回復を見せたのだと


驚いていた。






フと右腕に重みが増した。


恋が俺に寄りかかって来たのだ。



『ねえ、クオくん』



恋は 真っ赤に染まってゆく空に


右手をかざした。


そして腕をそっと伸ばす。



『空があんなに綺麗なのは


手が届かないからなのかな』



そう言う恋は


少し悲しげで


少し嬉しそうで。



俺はそっと恋の髪を撫でた。



「そういう事もねえんじゃねえかな」



恋の頭が上を向き、俺をみる。


俺は夕焼けを見ながら続けた。




「恋は綺麗だよ。


陰でずっと立ったり歩いたりする


練習をしている恋も、


凄く可愛い笑顔を向けてくれてる恋も


小さな身体もサラサラの髪も


全部、全部綺麗だ。」



『クオく…、ッ』



恋を抱き寄せると


恋は言葉を詰まらせた。


そして驚いたように


目をパチパチさせながら俺を見上げた。





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