『もうすっかり秋空だね』



その小さく澄んだ声は


小さなステーションを


駆け抜ける事は無かったが


しっかりと俺にはその綺麗な声を


聞き取ることができた。



「まだまだ暑ィ時はあるけどな」



そう俺が笑うと、


恋も俺を見てクスリと笑った。



『もう寒いよ。


風邪ひかないでよね、クオくん』



華奢な身体を浮かせて


よろけながら車椅子から


立とうとする恋を俺は慌てて支え、

俺の座っていたベンチに座らせ、


俺もまた その隣に腰を下ろした。



「それはこっちのセリフだ。


また1人で病室から出たんだって?」



そういうと恋は


少し口をとんがらせた。



『リハビリだもーん。


病室にずっと居るの


ツマんなかったとかじゃないんだから!』


「そうかツマらなかったのか。


ツンデレ、不覚にもときめいた」


『メロキュンぐへえ』

「ぐへえ」



俺が真似をすると


恋は笑い声を漏らした。








ToP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -