最低なこと







 あたしの幼馴染はモテる。
たまに一緒に学校に行くのだけれど周りから痛い目で見られたりする。
あたしに真広のアドレスを聞いてきたり、なにか伝言をさせたりと使われる。



 そして今、女の子に囲まれている。




 「え、と…どうしてこうなったのかな?」


 なんてボケてみる。
そんな冗談も通じるわけもなく怖い目でこっちを見る。



 「だからさァ、なにとぼけてんの!?真広と付き合ってもないのになんでベタベタしてんんだよッて聞いてんのッ!!!」



 「てかコイツ馬鹿なんじゃない?」


 「「「「あはははッッ」」」」




 と、笑い出す女の子たち。
え、えええええ、馬鹿って言われた…;;
しかも名前も知らない子たちに。




 「幼馴染だっけ?だからなんだよ!!」



 とうとう自問自答し始めた!!
なんかノリツッコミのようだ。



 「幼馴染だからって真広くんを盗らないでくれないかなァ?」



 あたし、いつの間にか真広を独り占めしてたらしい。
中学でもそんなことあったなぁ、懐かしい・・・。



 「何黙ってるんだよ!!!」



 と、黙っているあたしを殴ろうと手をあげる。
うわー、痛そう。




―バシッ




 ジーンと顔に痛みが響く。
やっぱり痛い。
目に涙がたまる。



 「痛いよぉー…」



 「あーあ、泣いちゃったッ」


 「「「「あははは」」」」



 笑われた。
痛みが慣れてきた。
ほっぺをさすりながらなにかしゃべらなくちゃと思った。
思いついたのはこれまた笑われそうなことだった。




 「真広に言いつけるぞ。」



 静まり返る。
今まで馬鹿高い声で笑ってた顔が真顔に変わる。



 「あたし、性格悪いからそうゆうこと、普通にするよ?」



 脅してみる。
面白いくらいに顔が焦りだす女の子たち。



 「は、はぁ?言えば?言えばいいじゃないッッ!!!」


 「行こッ」




 と、走り出す女の子たち。



 「ハハ、最低だ、あたし…。」



 しゃがんでアリにつぶやく。
自分がイヤになる。
それでも真広に近づくことをやめる気はない。



 これもまた自分を最低にする理由のひとつだ。




 「大勢で一人をいじめるのと、誰かに言いつける。これはどっちが最低なんだろうな。」




 ザッザっと足音と声がした。
振り向くとやっぱり真広だった。
安心した。



 「わかんないよ、そんなの。」


 「俺もわかんねーよ。」



 といってあたしに手を差し出す。


 「はは、真広らしーや」





 いつもどーりいつもどーり。





(ただ、俺に言われてもどうしようもないぞ?)
(え、助けてくれないの?!)
(女は苦手だ。)




 

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