窓の鍵は






 今日俺は告白をした。
中1の時からずっと片想いだった相手にだ。






 遅刻届けを出して教室に戻るとあいつ以外いつも通りだった。
あいつは机に突っ伏したまま。
顔に出やすいタイプだから一生懸命隠してるんだろう。





「おはよ」


「っ?!」





 ちょっといじめる。
肩が少し揺れて小さな声で「おはよ」と返ってきた。





 授業が始まる。
当然頭には入ってこない。
今日はずっと由衣のことを考えてる。
時々視線を感じるが恐らく由衣だ。
あえて見てやんない。





 中1の時から気づいた。
俺はこの子が好きだ。
ずっと幼なじみだったやつと距離をいきなり縮めるのはかなり難しい。
だからゆっくりゆっくり。





 中3になると由衣を好きになる奴らが出てきた。
由衣は人に流されやすい。
だからきっと告白なんかされたらOKを出しちゃいそうだ。





 そんなこと俺が許すはずもなく。
事前に聞き出してやめさせた。
無理矢理でもとめた。





 そのお陰か由衣は誰かと付き合うとかはなかった。
その代わり俺とずっと一緒にいた。
この時はそれだけでよかった。





 高校に入り新しい友達ができた。
それが愛之助と夢希。
でも由衣と俺の間に壁ができた気がした。





 段々と由衣が遠くなっていく。
それが嫌で手を伸ばすけど届かなかった。





 ある日勇気先輩と仲良くしている由衣を見た。
二人の距離は縮まっていく。
海に行った日の夜、二人でいるところを見ていた。
まるで恋人じゃん。





 それを見て俺は告白することにした。
なんとなく由衣と離れてしまう気がしたから。









「…(しまった)」





 気づいたら放課後だった。
今日ずっとぼーっとしていた気がする。
とりあえず支度をして帰る。





 校舎を出て歩いていると珍しい二人に会った。





「夢希と戸宮?」


「ん?おぉ真広!」





 手を大きく広げる夢希と少し頭を下げる戸宮。
愛之助はいないのか。






「何してんだお前ら」

「いやぁ…まぁ恋愛相談みたいな?」


「ほう」





 戸宮も頷いた。
まっすぐな髪が揺れる。





「でも二人でいると愛之助嫉妬するんじゃねーの?」


「それがもう朝怒らせちゃったんだよな…」


「マジかよ」





 愛之助は戸宮が好きだ。
素直でバカだからすぐに自分の気持ちを言ったんだろう。





「で、懲りずに二人で会ってるのか」


「人聞き悪いなー、俺が戸宮に謝っただけだよ」





 「俺が悪いし…」と小さく付け足した。
きっと愛之助に痛いとこつかれたんだろう。
相当落ち込んでる。





「大丈夫だろ、もしなんかありゃ俺も協力する」


「おぉ真広いてくれりゃ安心だ!」





 バシバシと背中を叩いてくる。
ま、めんどくさかったらパスするがな。





「由衣とはどうなんだ?」





 今まで喋らなかった戸宮が口を開く。






「もうすぐ、かも」


「「ほーう」」





 多分。
これを聞いた戸宮は安心したように肩を下ろした。
夢希も嬉しそうだ。






「じゃあ帰る」


「あぁ」


「じゃ俺も帰ろっと」





 結局その後は解散した。
戸宮は大丈夫なのか…?





 家に帰ると母さんがヘラヘラしていた。
なにこの人。





「まっひろー」


「…何」



 手招きされた。





「さっき由衣ちゃんに会ったんだけど、真っ赤な顔して急いで帰ってたわよー」


「だから何さ」


「もう、誰かに由衣ちゃん取られちゃうよってことよ」





 …その原因俺じゃね?
多分そうだよな、真っ赤な顔か…。





「真広?何ニヤニヤしているのよ」


「べっつにー」





 二階に上がり自室に入った。
そのままベッドにダイブして目を閉じた。





(そういや)
(キス、しちゃったんだよな…///)


 

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