開けといて
「ハァ…」
ビックリした。
朝真広にちゅーされてから真広ばっかり意識しちゃった。
真広はいつも通りだったのに…。
「(しかし…)」
ちゅー=好きでいいのかな?
あれが真広の気持ち…///
「あぁッもう!!///」
恥ずかしい、すっごく恥ずかしい!!
ベッドにダイブしてしばらく転げまわる。
「(そうだ)」
彩斗に相談しよーっと。
困ったときには友達だよね!
友達という響きにまた少し顔がニヤける。
"「真広にキスされたー(*>д<)」"
ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな?
すでに送信完了の画面が出ている。
―ピロリン
返信がきた。
"「よかったね。」"
えへへ…。
すぐに返事をする。
"「これが俺の気持ちって言われたんだけどどう思うー?(・ω・`)」"
"「好きなんだろ?」"
や、やっぱり…。
いいんだよね、両思いって考えて。
次の返事をしようと操作していると窓から音がした。
―ドンドン
屋根を伝ってこれる人は一人しかいない。
真広だ。
―ガラ
「よう」
予想は的中でそこにはすまし顔の真広が顔を覗かせていた。
「窓の鍵開けとけよ」
「ご、ごめん」
直視しないように距離をおく。
き、緊張するー!!
「な、なにか…?」
「朝の、わかった?」
きたー!!!
ひょいっと部屋に入り窓を閉める。
それから真広は顔をぐいっと近づて。
「き、キスのこと?」
「そう」
「えーと…」
恥ずかしくなって濁す私をみて真広はクスッと笑った。
「わかんないならもう一回」
そう言うと私の頬を両手で押さえそのままキスをした。
「んッ……」
朝よりもちょっと長めで。
しばらくして口を離しぎゅっと抱きしめられた。
「好きだよ、由衣」
真広の暖かさを感じながら音も聞こえない中、真広の言葉だけが響いた。
「…ん……///」
答えるように抱きしめ返した。
うわぁ、心臓が壊れちゃいそうなくらい動いている。
「由衣は?」
「あ、あたしも……///」
「ちゃんと言えよ」
髪をさわられる。
あぁもっと綺麗に巻いてくればよかった。
なんてのん気なことを考えられるほど嬉しかった。
「あたしも…あたしも真広が好き、です///」
顔を隠すように真広の胸に顔をうずめる。
真広もぎゅっときつく抱き返してくれた。
「やべー…すっげー嬉しい///」
なんてちっちゃな声で呟いている。
真広もドキドキしているのかな。
「でも、嫌われちゃってるのかと思った…」
「俺だって思ったよ、お前すぐ怒るしすぐ泣くし」
「うぅ…」
「俺本気で落ち込んだからな!!」
「ご、ごめんなさい…」
的確ですね…。
「でもちょっと自信あった」
「自信?」
「お前が好きなのって俺だろうなーって」
わ、わかっていたのか…!!
「嫌わないでーなんて言われたらなぁ」
「だって…いやだったんだもん…」
「嫌うわけねーじゃん」
真広の手があたしのウェストに移動する。
「なぁ由衣」
「なーに?」
「もっかいキスしていい?」
「はい?!!///」
―チュッ
まだ返事してないのにな///
真広の手が背中に移動してそれと同時に舌が入ってきた。
「ッふぁ…ッ……んぅ…///」
しばらくしてゆっくりと口を離す。
「…慣れてる?」
「まさか」
「ホントに?」
「ホントに、お前がはじめてだし」
多分嘘じゃない。
なんとなく幼馴染の感。
「意外かも」
「そうか?」
「うん、もういろいろ大人かと思った」
「なんだよそれ」
よかった、のかな?
真広の腕の中でちょっと笑ってみた。
「でもまぁ、したいとは思っている・・・」
「え」
真広から離れる。
小さな声で言うからよけいリアルだなぁ…。
「なんだよ悪いかよ…///」
「真広も男の子だね」
「うるせー」
なんて言いながらまた隣に座った。
真広の手の上に手をおきあわせる。
男の子の手だな…。
「なんか、キスしたら我慢できなくなった」
!?
「由衣が可愛すぎるから悪い」
「い、いやいや///」
チラッと真広を見ると真広もこちらを見ていたのか目があった。
慌てて逸らすと頭を撫でられ肩に寄りかかった。
「俺、多分由衣のこと束縛すんよ」
「い、いいんじゃない?」
なんて返せばいいのかわからないなぁ。
「むしろ嬉しい、かも」
「M」
「なんでそうなるのよー!」
ニヤニヤしている真広のほっぺを伸ばす。
「…由衣可愛い」
「なっなななな///」
「俺、我慢できない」
「それは困る!!」
これだから思春期は!!!
「なー、だめー?」
「ま、まだだめ!!」
「あ、生理?」
「ッバカ!!真広のバーカ///!!!」
てか最低だぁ!!
「まぁいいや、"今は"ね…」
「…馬鹿///」
ニヤっと笑い頭を撫でてくる真広。
いつかはきっと…。
すぐ隣にいる幼馴染は手の届く距離にいて
手を握っていてくれる。
きっとまた不安になるんだろうな。
でも今は、幸せだから甘えよう。
「由衣」
「ん?」
―チュッ
「愛してるよ」
明日から部屋の鍵はお互い開けっ放しだろうな。
大好きな人が来てくれるから。
窓の鍵は開けといて END
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