ほどけてきた気がした




 駅につき、みんなと別れ自宅に戻る。
真広はコンビニ行くと行って違う方向に向かった。





「……ハァ」





 ため息をつき、夏の夜空を見上げる。
そういえばケータイが光ってるな。
勇気先輩と表示される。





"久々、夏休みエンジョイしてるか?
暇だったからメールしちゃった(・ε・ヾ"





 …なんだよ。
携帯を操作し、勇気先輩のケー番を見つける。










『もしもし、由衣ちゃん?どうしたの』


「うぅううあああああああ」


『なんだよ、え、俺なんかした!!????』


「先輩、助けて、ください…」


『…今、どこ?』


「…駅の隣にあるちっちゃい公園」


『わかった、待ってろ』


「う、ぅう……」





 なんで、泣いてるんだろう…。
しばらくして先輩が原付できた。






「ん」


「え?」




 第一声が"ん"で、差し出してきたのはム○というかゆみ止めだった。




「えーと…?」


「いや、蚊に刺されたかなーってな!」


「あ、確かに痒い…」


「蚊が多いからな、この辺!」


「へー…」





 うっちょっと沁みる…。





「で、どーしたよ」


「先輩、あたし真広が好きです」


「…そーみたいだな」





 知ってた、とでも言う様な態度。
あたし、わかりやすいのかな…。
隣のブランコに座った先輩は腰に指していたうちわでパタパタしている。





「でも、真広を好きになるほど離れていく気がして…」


「お前ら幼なじみだもんな」


「はい…」


「由衣ちゃんは真広とどうなりたいんだよ?」


「どうって…」





 どうなりたいんだろう。
一緒にいたいならこのままでもいい気がする。
一緒にいる以上のことをしたいのかな…。





「…///」


「なに赤くなってんの?」




 言えないなぁ…。



―キィッ





 先輩がブランコから立ち上がる。
そしてあたしの前に立ち止まる。





「?」


「由衣ちゃんってさ、結構モテんの知ってた?」「い、いや…え?」


「だーから、3年の間でも有名なんだよ」


「は、はぁ…」





 なんか怖いなぁ…。
そして心臓が激しくなった。





「で、でも告白なんてされたことないですし…」


「なんでだと思う?」





 なんでって…。
そんなのただモテないだけじゃないのか…。





「はは、まぁいいや!由衣ちゃん、告白しないの?」


「え、っと…」


「あぁ告白されたい?」


「うーん…」





 曖昧なことしか言えない。
正直よくわからない。





「結局のとこ恋愛なんて一人で考えなきゃいけないと思う」


「…はい」


「でも由衣ちゃんは泣き虫で心配だから俺も一緒に悩んであげる」


「ありがとうございます…?」


「でももし俺が由衣ちゃんを好きになっちゃったら責任とってね?」


「こ、困りますっ///」


「割りと本気!」


「えぇ…///」




 笑っているようで笑ってない顔をする先輩。
読めない人だなぁ…。





「とにかく決めるのは由衣ちゃんだと思う、告白するのもあきらめるのも」


「あきらめたくない、です」


「じゃあもう答えなんて決まってんじゃん」





 そうなんだ。
決まっているのだ。
このままの関係はいやだ。
真広に好きと言って、真広に好きって言われたいんだ。
愛してるって。





「先輩、告白ってどうすればいいんですかね」


「俺に聞くかー、メール電話手紙直接っていろいろあるだろ?」


「んー…やっぱりちゃんと伝えたいな」


「それでいいんじゃないかな」





 優しく笑う先輩にちょっと戸惑いつつなんとなくこんがらがったものが解けていくきがした。





「でも、あたし真広に当たっちゃったんです…」


「ほー、喧嘩?」


「…まぁそんなとこです・・・」


「原因は…聞いてもいいのかな」


「あたしの、嫉妬です…悔しくってつい…」


「…そっか」


「もう、戻れないのかなー…」





 ちょっと涙が出てきたが無理やり抑えた。





「だいじょーぶだよ!」


「先輩…」





 ニッと笑った先輩を見ていると、頑張れそうな気がしてきた。





「真広が由衣ちゃんを悲しませるようなことしたら俺が許さねーよ!」





 頼れる先輩だなぁ…。
勇気先輩と知り合えて本当によかった。




「ありがとうございます、落ち着きました」


「うん、じゃあ帰るか!」


「はい!」





 決心できた気がする。
あたしは真広が好きだ。
この気持ちは変わらない。
だから、伝えたい。





 家の前まで送ってもらった。





「本当にありがとうございました」


「いやいや、じゃあばいばい!」


「さようなら」





 原付のエンジンの音を聞きながら手を振った。
向こうも振り替えしてくれた。





 よし、明日から頑張ろう。ちゃんと伝えよう。





 この時は隣の家から、幼馴染がこちらを見ていたのに気づかなかった。






(由衣ちゃん、俺じゃ、駄目かな…)
(…)


 

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