思い、想い
「よし、かえろっか!」
着替えが終わり、帰宅の時間がきた。
もう人気も少なく、太陽が傾いている。
未だにみっつ隣の真広になにも言えないまま。
彩斗が心配そうに見ている。
電車に乗り、揺られること約50分。
地元に近づくにつれ少なくなる人。
疲れて眠っている人が3人。
窓を見つめるあたしと、携帯を見つめる真広。
けして目をあわせず口を閉じ、ただお互いの距離を感じるだけ。
伝えなきゃ、だめなのに。
ちゃんと言わなきゃ。
違うよ、違うんだよ。
あたしは真広とこうなりたかったんじゃない。
真広とこんなに遠くにいたくないよ。
もしかして、あたしが望んでいる関係はもっと遠くなってしまうのかな。
だったら、いっそこのまま同じ距離で近すぎず、でも遠すぎないこの距離のがいいのかな。
この距離がさ、辛いんだよ。
ちょっと視界がぼやけて
それを無理やり抑えて目をつむった。
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