朝のシスコンと自転車
地球の軸がずれている。
目を開けてボーッとする。
椅子が、斜めっている?
「オイ、姉ちゃん!!今日入学式だろ?いーのかぁ、もう7:00だけど」
あぁ、地軸が傾いたんじゃなくて私が傾いていたのか!
我が弟の陸くんが私の重たい身体を起こす。
少し弟に頼りすぎかなぁ?
って
…それどころじゃねぇえええぇええええぇぇぇええええ!!!!
「やばい…どのくらいやばいっていうと、ものすごくやばい!!!」
意味のわからないことを言いながら起き上がりとりあえず焦る。
「うん、わけわかんねェから早く着替えろ。送ってくから」
と、既に学ランを着ている陸が制服を持ってきてくれた。
わぁ、もう私も高校生かぁ〜♪
「ありがとう陸、大好きーっ!!」
ギューっと抱きつき感謝の気持ち。
これは小さい頃お母さんに教わった愛情表現。
「俺もだよ、姉ちゃん。俺も遅刻しちゃうから早く着替えて」
ギュッと抱き返してくれる陸。
この子は本当にいい子!!
お姉ちゃん嬉しいよぉ
「早くしないと俺が脱がすよ?」
「恋っ!ぬっぎまぁぁっす!!」
少し思春期なだけです。
本当に少しです。
制服に着替えて顔を洗い、歯を磨く。
「恋ってさ、胸ちっさいよね」
「う゛っ…うるさーい!!準備完了行こう!!」
パンをかじって玄関に行く。
「俺はもう少しおっきいのが好きだから、頑張ってね」
何を?!!
私がこれから通う西浦高校は家から自転車で40分…遠い。
今からならギリで間に合う!!!
「あぁ〜眠ぃ〜」
「だなー…もっとつかまれ、スピード出すから」
「はいはい」
―ギュウウウウウウ
「胸ねぇな…まじで」
「西浦で彼氏作って揉んでもらうから大丈ブイ!!」
ピースサインしてどや顔してやる。
彼氏なんて出来ないだろーなぁ…。
「駄目、弟は認めません」
「い、意義ありー!!お姉ちゃんの言うことは絶対!!」
「落とすよ?」
わざとサドルを傾かせて自転車を揺らす。
「わわッ、ごめんなさい!」
なんて意地悪な弟なんだ!!
いや、優しくて意地悪…。
「陸は小悪魔なのか!!」
―キィィィィ
「意味不、ほら着いたよ」
「ありがとう!アタシはいい弟をもったなぁ」
「(高校の制服の姉ちゃんも可愛いなぁ…)帰り迎えに行くからぜッッッたいにメールしろ」
「今日もシスコンだねぇ!陸も学校遅刻しちゃだめだよー」
ちょっと危ないのかな、あのシスコンぶりは…。
まぁ、いいや、扱いやすいし♪
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