七転八倒

「フォウッッ」





―ズルッ





「大丈夫か空…(なんだ今の声は)」


「空ー大丈夫かー!スゲー声だったぞー!!」





 思いっきり転んでしまった。
山に入り山菜を取っています。





「平気!悠、人間危険を察知すると声をあげるんだよ」





 孝くんの手を借りて起き上がる。
土やら葉っぱやらが髪に絡まった。





「汚いねェなァ」


「申し訳ないっす」





 孝くんと悠にはらってもらった。





「空、見て見て、これ食える?」





 悠がキノコっぽいのを持ってきた。





「変な色してるけど隆也あたり食べれるよ!!」


「そっかぁ!」


「お前ら阿部をなんだと思ってんだ…」




 孝くんに止められました。
キノコは諦めてフキやらゼンマイを集める。





「あ、だんご虫!!!」


「うわっ悠、やめたってくだせぇ」


「虫苦手?」


「んー…苦手、かも」





 うわぁ悠の手にいるだんごむしの足がうようよしている。
気持ち悪いなぁ…。




「田島、それ逃してやれ、空に二度と触れなくなるぞ」


「うん、触んない」


「えぇ、じゃ逃がすー…」





 ひょいっと地面にだんごむしを落とす。
うわぁうじゃうじゃしてる!





「あ、これ山菜ってやつ?」


「あぁゼンマイか?」


「こっちにもあった!!」




 おぉう大量大量!!
今夜はみんないっぱい食べれるな。





「そろそろ帰るぞ」





 梓の声だ!!
急いで梓の元へ駆け寄り先ほど採れた山菜を見せた。





「おぉ、いっぱい採れたな!」


「すごいっしょーっ」





 頭をわしわししてもらった。
お兄ちゃんみたいっ。





「俺らも大量だよな!」


「おう」





 悠と孝くんの袋にもたくさんの山菜が入っていた。





「これならお腹いっぱい食べれるね!」


「俺ならもっといける」


「悠いっぱい食べるもんね!!」





 悠はなんでも美味しそうに食べる。
そんな悠を見ているのが好きだ。





「さて、帰ったら飯だ飯」


「まだ調理しねーとだな」





 孝くんの言葉に肩が揺れる。
調理…。





「空は料理できんのか?」





―ピクッ





「篠岡はうまそうだよな」





―ピクピクッ





「空…」





 うぅ…(泣)





「「「料理、出来ないんだな」」」




 うぁあああああっ!!





「おーい相澤ちゃーん」





 ハッその優しい声は勇人くん!





「勇人くん、君だけがあたしの天使だぁッッッ」


「うわぁ相澤ちゃん転ばないでね!!」





 さすが勇人、優しいぜぇ!!!!!





―ズルッ





 あぁ。





「フォウッッ」





 勇人くんの声はフラグだったのね。
フラグ回収乙です。
軽快に滑り草などが宙に舞う。
あぁ、泣きたい。





「うわ大丈夫?!」


「勇人くーんっ」


「怪我してない?」


「全然平気!!」





 サッと起き上がり勇人くんを見上げる。
おぉ…。





「あたし、勇人くんみたいな人と結婚する」


「「「「!?」」」」





 ひょいひょいっと駆け上がってきた悠と孝くんと梓。
悠が腕にしがみついてきた。





「んじゃ俺も優しくなったら結婚?」


「んー…あたしの身長理想は梓くらいだからなぁ…」


「「「「…」」」」





 その後、梓とあたし以外の人たちが静かになりました。





(なんでみんな暗い顔してんの?)
(隆也、身長って大事だよ)
(はぁ?)

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