押入れの魅力

【泉視点】




「おい空、着いたぞ」





 花井の肩で寝ている空を揺らすがなかなか起きない。
いっそのことひっぱたくか。





「泉、やめとけよ…?」


「ッチ」





 花井に止められた…。





「んー…うるさい」


「あ、起きた」





 目を擦りながらむにゃむにゃしている空。
ほっぺをぐにぐに引っ張ってやる。





「ひょ、ひょーふんひゃへへー!」


「起きるの遅すぎ」





 ほっぺ柔らけぇ…。





「梓の肩が気持ちよすぎたんだよー、さぁ梓おはよーのちゅーっ」


「ちょ、おい///」





 空が花井に抱きつく。
梓って名前なのか…。





「却下」





 ほっぺをまた引っ張る。
うわ、なんだその不服そうな目は…。





「な、なにここ…」




 先にバスを降りた空が止まっていた。

「なにしてんの?」


「い、いや…ここに泊まるの…?」





 なにいってんだ?
とか思いながら顔をあげるとどんよりしたボロ屋敷があった。





「暗いな」


「あ、あたしこうゆうの無理な人なんだよね…おばけとか…」





 …涙ぐむんじゃねぇよ///





「巣山くん、一緒に中へ行こう!(巣山くんなら強そうだ)」





 とか言って巣山んとこに行ってしまった。
俺じゃ頼りにならねぇか…。





「どうしたんだ泉?」


「あ、いやなんでもねぇ!」





 なんか妬けるなぁ。







【空視点】




 巣山くんの腕を鷲掴んで中に入る。
ぼ、ぼろい…。





「相澤はおばけ信じる?」


「い、いやだなぁ巣山くん、いるわけないじゃんか…」


「(びびってるびびってる)」





 巣山くんをちら見すると何やら困った顔された。





「どうしたの?」


「き、着替えたいんだが…」


「気にせず着替えて」





 離れたら死ぬ!!!





「いや相澤だって着替えるだろ?」


「うぅ、巣山くん着替えさせて!!」


「えー…と(問題発言だよ相澤///)」





 うぅ、うぅ(泣)





「おい空、篠岡いるだろ」


「はっ、そうだ、千代、千代ぉ(泣)」





 隆也の言葉により千代のとこまでいく。





「空ちゃん、掃除だし着替えちゃおー?」


「うん、千代いれば安心」


「なにが?」





 千代はなんかお化けには強そうだ。
とりあえず着替える。





「千代胸あるね…」


「えぇ///?空ちゃんのがあるよー///」


「全然ないんだよー、百ちゃんみたいになりたいなぁ」


「スタイルいいもんね…」





 ため息をする。
そういえば野球部たちは百ちゃんにドキドキしたりしないのかな?



「そういえば、千代は好きな人とかいる?」


「え?!ん、んー…と…///」


「お?なにその反応、もしやぁ?」


「もーからかわないでよ///ほら掃除行こう!!!」





 流されちったぁ。
気になったけどそこは深くは触れなかった。





「お、マネジもきたな」


「梓!なんか手伝う?」


「あーじゃちょい押さえてて」





 布団をほしていた梓。





「梓背おっきいねー!」


「そーか?」


「うん、あたしの手ほっぺまでしか届かないもん」





 梓の片方のほっぺを軽くつねる。





「お前はチビだな」




 むにっとあたしのほっぺをつねり返す。
チビっていわれた…。





「むーチビじゃないもん!!」


「ここの誰よりも小せェだろ」


「アイちゃんには勝ってるもん」


「犬と比べるな」





 アイちゃんとは、百ちゃんの愛犬ちゃんのこと。
めっちゃ可愛い。





「よし、あとは叩くだけかな」


「おー、梓はいい嫁さんになるな!」


「俺は男だ」


「そしたらあたしが旦那さんかな?」


「なっ///どうゆう意味だよ…///?」

「意味なんてありませーんっ」





 次はだれんとこお手伝いしよっかな?
悠がはしゃいでる。
お、文くんいんじゃん!





「文くん、お手伝いしまっせ!」


「おぉ、じゃあ一緒に押し入れ拭くかー」


「はーい、隆也、雑巾パス」


「ん」





 隆也の投げた雑巾はあたしの手より大部曲がった方向にとんでいった。





「隆也それでも野球部かぁ?」


「布と玉は違ェんだよ!」


「そうゆうもんかな?」





 雑巾を拾って押し入れの中に入る。
先に入った文くんがいた。





「あれ、空ちゃんは上を掃除するんじゃ?」


「いや、なんかこの狭さを体験してみたかった」


「せ、狭いよ…」


「狭いね…」





―バタン





「空ちゃん、なんで閉めたの?」


「いや、なんかこうゆうのドキドキしない?」


「するけど…(違う意味で///)」



 真っ暗だなぁ、文くんの足を触る。
コチョコチョ





「うっわッッッや、やめッ!!!!!!!」


「あはははは効くねぇおりゃあああっ」


「や、まずいって腹はッや、はははッッちょッ」





―ガラッ





「なにしてんだお前ら…」





 隆也に開けられちゃった。
よくみるとあたしらの体制って…。





「あたしが文くんを押し倒してるみたい…」


「そう見えるな」






 あ、あれ?隆也怒ってる…?
なんか、顔怖い…。




「空ちゃ、マジでどいて…///」


「え、…っうわぁ???!!!」





 い、今なんかお尻に当たった?
振り替えろとしたが





「いや、ちょっと待って、なにも見ないで出て!!!!」


「え、でも文くん、今なんか当たったような…」


「いいから、ほんとなんもないから!!!!」


「?」





 隆也の手を借りて外に出る。





「あれ、文くんでてこないの?」


「…ちょっと…落ち着きます///」


「?隆也、文くんなんかあったの?」


「あぁ、水谷も男だからな、ほら次山菜取り行くらしいぞ」


「男…?あぁ勃ッむぐっ」




 やっと答えがわかったのに隆也に口を塞がれてしまった。
隆也を見ると文くんのいる押し入れを哀れむ目で見つめている。





「文くん、ごめんね?ゆっくり処理してね…」


「空ちゃん…(傷をグリグリされてる気分だ…)」


「大丈夫、弟もよくなってるから!!」


「そんなフォローいらないよぉ(泣)」





 文くんも男だ、うん。
さぁ山菜取り行こう。
後で文くんに謝っておこう…。





 女子が近くに行くだけでなっちゃうもんなのか…。
勉強になるなぁ。



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