「どうして君が僕の家に…?」
「いやぁ、メアド聞かないで夏休みになっちゃったじゃん?だから!」
だからって…、意味がわからない。 そう言えば私服の柊くんに会うのは初めてなわけで。 いかにもモテそうでカッコよかった。
「僕のアドレスと僕の家は全く関係ないのだが」
「んー…確かに!」
「なんなのだ君は…」
「彩斗ちゃんの未来の王子様!」
「断る」
スイカを購入し、次の駄菓子屋さんへ行く。 それをペラペラとなにかを話ながらついてくる柊くん。
「何故ついてくるっ!」
「え、だから彩斗ちゃん家行かなきゃ」
「だからなんで…」
「ご挨拶を…」
「帰れっ!」
ダッシュで走って家の前まで行く。 息を整えてドアを開けようと手を掛けた。
―ガバッ
「わっ」
「つっかまぁえた♪」
やはり柊くんだった。 息を切らせて笑う姿にドキドキしてしまった。
「彩斗ちゃんって、足早いよね」
「君には負けるがな…ハァ」
ドキドキ。 バレないように顔を反らす。
「彩斗ちゃん帰ったのー?」
お母さんの声が庭からする。
「ね、ね!今のって彩斗ちゃんのお母さん?」
「…そうだけど」
無邪気に聞くもんだから素直に答えてしまった。
「あらあらぁ!!彩斗ちゃんにも彼氏出来たのねぇ!いらっしゃい」
「な、違ッ」
お母さんが現れ勘違いをうみ出した。 今まで僕が家に友達を呼んだのが指折り数えられるくらいだったので嬉しそうだ。
「いつも彩斗ちゃんがお世話になってますー」
「だから違うから!」 「いえいえ俺のが世話されてますよ〜」
「君も否定しろ!!」
否定してるのに楽しそうに微笑むお母さんとまるで彼氏のように接する柊くん。
「まぁ立ち話もなんだから入って入って」
なんて流れで柊くんが家に入ってきた。 お母さんがスイカを切っている。
「彩斗ちゃん家って綺麗だねーっ」
「どーも…」
「そうそう、彩斗ちゃんに言いたいことあって来たんだぁ」
と、携帯をいじりながら話す柊くん。 なんだ、ちゃんと用件があって来たのか。
「今から海行かない?」
…は?
「あらぁ海いいじゃない!いってきなさいよ〜」
なんてお母さんがスイカを持って笑っている。 いやいやいや!
「なんで今から?!」
「今さっき真広に誘われたから〜、由衣ちゃんも一緒だよ!」
「いやでもいきなりすぎないか」
「いいじゃないかっ!彩斗ちゃんの水着見たいしっ!!」
下心が出てます。 水着なんてないし…。
「大丈夫よ彩斗ちゃん、水着買っといたから!!」
なんで?! お母さんが親指を立てながら笑う。
「よし決定!!スイカ食べたら早速出発っ」
シャクシャクとスイカをかじりながら笑う柊くん。 え、え?!
「はい、彩斗ちゃん!支度しといたから!!」
「なんでお母さんが嬉しそうなの?!」
「うふふ、楽しんでらっしゃい♪」
「うー…」
「よし彩斗ちゃん、行こっか!!」
スイカを食べ終えた柊くんがグイッと僕の腕を掴み荷物を持ち走り出す。
(まだ僕スイカ食べてないのに…) (今俺とちゅーすればスイカ味だよっ) (ち、ちゅーとか言うなっ///!!!!)
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