黄色い奴ら | ナノ

ちょっと近くない?

 リア充爆発しろ。
末永く爆発しろ。
破ぜろ。





なんて私の裏ブログに書き、そっとため息をついた。
恋がしたい。





『怖ェよ…』


『マスター…』





 黄色いボカロが心配そうにこちらを見ている。





『お前ってネットだとすごいんだな…』


「なによー」


『いや、ずいぶんと性格が違うようで…』





 ネットだもん。フンッ
黄色いの二人は私の表ブログを見ている。
明るくてふわふわしていそうな文字を眺めながら顔を青くさせている。





『マスターはもっとズバズバ言うじゃないですか』


『そうだよ、こんな"向日葵わかんないよぉ"とかキャラじゃないだろ?!』





 うるさいなぁ…。
耳を塞ぎながら表のブログを見返す。
確かにだいぶ性格が違う。





「…恋したい」


『僕がいますよ!!』





 デジタル…。





『お前モテないのか』


「勝ち組に見える?」


『…』


『…』


「無言とかwww」


 心にダメージを食らいながら冷蔵庫を開けてパックのストレートティーを取り出す。





『あ、マスター駄目ですよがぶ飲みしちゃ』


「いいのー」


『こりゃ彼氏出来ないわな』





 グサッ。





「…そんなにだめかな?」




 二人は真面目な顔でゆっくり頷いた。
これは、結構マジ?





『髪からだめだよ、あと制服とか』


『マスターは偉いから少し地味になっちゃうんですよね』





 見透かされてる…。
長々としたスカートにボサボサの髪を見にまとった自分を鏡で見る。
頭よさそう…。
が、よくない。





「ど、どうすれば…?」


『ふっ俺らに任せろ、とりあえず外出せ』





 言い方に問題があったがこの際もう頼るしかないので大人しく従う。





「よし」





 リントくんとレンくんは白衣を着て手袋、マスク、ゴーグルなどを装着し構えている。





「整形とかじゃないですよね?」


「あぁ?んな訳ねェだろ」


「任せてください!!」





 気合いに溢れてるがそれが余計不安にさせる。
ソファーに座らされ髪に櫛をいれてくれた。
レンくんはバラバラの前髪を丁寧に切ってくれている。





「リントくん何してるの?」


「スカート切っちまおうぜ」


「いやいやいやばかばかばか!!!!」





 前髪を切っているので動かないが、リントくんの行為を見逃すわけにはいかない。
レンくんがハサミを遠ざけた瞬間レンくんのお腹を抱き、ストップの合図。





「マママママスターッ///!!???」




 効果は抜群のようだ。
急いでリントくんの元に行き、スカートを取り上げようとする。
が、向こうも思いっきり握っているので引っ張り合い。





「離してよ!!」


「なんでだよ、任せろ!!」


「いいよ、マジックミ●ン行くから!!」


「なんでマジックミシ●行くんだよ、俺でいいだろ!!」


「プロに頼ったほうがいいでしょう!!???てかスカートそのままじゃだめ?」


「「だめ(です)」」





 二人の声が重なり綺麗なハーモニー…。
なんだよ馬鹿、冬とかどうすんだ馬鹿。





「とにかくその半分だけ綺麗な前髪なおせ」


「じゃあスカート離してよ!!」


「はいはいわかったよ、ほらこの通り!」





 パッと手を離し、スカートを奪う。
そのままさっきの体制に戻り前髪の続き。
リントくんは化粧セット(気休めに買ったやつ)を漁ってる。





「どれも100均…」


「安いじゃん」


「マスターはお肌綺麗ですから目だけで大丈夫ですよ!」





 あのねレンくん、目だけでも化粧道具はいっぱいあるのよ。





「はい、前髪できました!」


「おぉ、鏡鏡」


「まだだーめっ」





 リントくんにサッと鏡を取られる。
その意地悪そうな顔に少しきゅんときた。
と思ったらレンくんの顔がドアップで視界に入ってきた。





「マスター今リントに見とれてたでしょう」


「え、そ、そんなことないよ!」


「嘘です、僕ちゃんと見てました!!」





 こわーい。





「ちょっと、見とれないでよ」


「うるさいなー」


「化粧し難いんだけど」


「ちゃんと目線逸らしてるでしょー」


「いやレンが…」





 レンくんを見るとまたもやドアップであたしとリントくんを見つめていた。
こわーい。





「れ、レン…?」


「リントちょっと近くない?」


「おぉ、ごめんな」





 んー…。





「リントくんってさ」


「あ?」


「レンくんに優しいよね」


「そーか?」





 うん、明らかにあたしと扱いが違う!!
もしや…弱味でも握られてんのかな。





(あ、リントまた近づいた)
(あぁ、悪い悪い)
(…めんどくさいなぁ)

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