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 "俺"はきっと襲われたんだ。
今インストールされた場所で。
誰かに。





 怒りが芽生える。
どこにもぶつけようのない怒りだ。
だってどこにも触れられない。





醜い争いが続く今ここで

僕の心を歌います。

誰かに響くことはないけれど

僕の胸にはのこるのさ!




明日になれば 忘れてしまう

そんな小さな 歌でさえ

うまく歌えない 僕だから




今、ここで僕を




壊してよ 消し去ってよ

もう辛いだけだから―

離してよ 僕を見ないでよ

寂しくなるからさ―




壊してよッ 消し去ってよッ

僕に愛をください。

離さないでよ 僕だけ見ていて!

傍にいたいだけなんだ―。





 急に歌いだした"俺"。
少し聞きづらい声だった。
でも聞き入ってしまった。
歌詞が何よりも俺の中でひびいた。





―ポロッ





 俺の目からしずくが落ちる。
目の前がぼやける。




 あぁ、"俺"はこんなにも悲しくて辛い思いをしてきたんだ。
こんなにきれいな歌声なのに、誰にも響かないのか。





 俺は"俺"を抱きしめた。
きつく、強く。
感触はないけど。
それでも抱きしめた。





ずっとずっと。
 その瞬間暖かくなり
視界が一回転する。





ハレ
 「…アメ……」












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