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アメ
 「ごめんなさい、マスターッ!!まだ、まだ歌えますッッ!!!!だからッ」





―カチッ





【消去しました。】





 また泣いている声がする。
きっともう一人の俺だ。
またこんな暗いところに入れられたのか。




 どうやら俺の姿は見えてないようだ。
さっきから声をかけても返事がない。
目も合わせてもらえない。





 俺はいつからここにいるんだろ。
ずっともう一人の俺の傍にいる。
いや、離れることもできるけどなんとなく、本当になんとなく傍にいないとダメな気がする。





アメ
 「もう、壊れちゃいたい…消えちゃいたい…」


ハレ
 「…そんなこと言うなよ…」





 なんか寂しい。
どんどん声が変わっている気がする。
俺が最初に聞いた声より聞きづらい声になってきている。





【インストール開始しました。】





アメ
 「また、捨てられる…消えたい…」





 最近じゃインストールが始まるたびに消えたいといっている。
表情も暗く疲れきっている。





 俺になにかできないだろうか。
俺は本当に何もできない存在なのだろうか。





【インストール完了】





 俺が見送れるのはここまで。
俺は外には出れないらしい。
だからどんな世界があるのか知らない。





ハレ
 「いってらっしゃい…」











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