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 誰かが、あたしにずっと謝ってる。
何故?
問いかけても答えてはくれない。






アメ
 「…泣いているの?」





―ゴメンな、傍にいてやれなくて



アメ
 「…?」




―ゴメン、無力で




アメ
 「無力?あなたは誰?」




―…



アメ
 「どうして黙ってしまうの?」




―悲しいから



アメ
 「どうして悲しいの?」




―自分の無力さを認めることになるから




アメ
 「無力って何で?」




―…



アメ
 「また黙ってしまうんだね」



―ゴメン



アメ
 「あなたは誰?」




―…お前



アメ
 「…なら、あたしの手を握ってよ」



―無理だよ



アメ
 「なんで?」



―俺が手を握ってしまうとお前が壊れてしまうかもしれない



アメ
 「無力って嘆きながら行動しないの?」



―…ゴメン




アメ
 「あたしは壊れたっていい。でもあなたに触れたい。」




―…








―ガッガガッ




 ひどいノイズに包まれる。
目を開けているのに真っ暗。
マスター?みんな?何処?





―フワッ



 なにかがあたしに触れた。
そちらに目を向けるとVOCALOIDがいた。
悲しそうな目で。



アメ
 「あなたが今まで話していたもう一人のあたし?」



 「…そう」



 悲しそうな目で見つめてくるアナタ。
青い瞳の中に映るあたし。



アメ
 「アナタの名前は?」




 「天音ハレ。お前の亜種」




 亜種かぁ、初めてウィルスがはいった。
これまでウィルスに感染される前に捨てられてしまうから。
天音はあたしに近づいて抱きしめる。



ハレ
 「ごめんな、今まで、一人で抱え込ませて…。本当は怖かったんだ…自分も捨てられるのが、怖くて…」



アメ
 「何言って…」




 抱かれている腕に力がこもる。
とゆーか、震えている?



ハレ
 「これからは俺もお前の痛み背負うから、我慢すんな…」



 その言葉が胸に突き刺さってキュッと締め付けられた。
目に、涙がたまっていく。



アメ
 「がっ、我慢なんて…して、ッう…ないよ、ぉぉ…グス」




 目から何粒もの涙が零れ落ちる。
ダメ、泣いちゃダメ…。



ハレ
 「守るから!俺が、お前を守るから…泣いたっていい。だから一緒に頑張ろう?」



 あぁ、だめ…。
そんなに、優しくしないで…。
貴方に、甘えちゃう…!!


アメ
 「ふっう…ぅっぅう…うわぁぁぁぁん!!グスッ怖かったよぉ…痛かったよっ寂しかったし…ヒック辛かった…ぅぅずっと…ずっと独りぼっちで…ぇ」



ハレ
 「ん、見てた…ずっと見てた。大丈夫、これからは二人ぼっちだから…ずっと傍にいるから…」




 あなたの優しい言葉があたしの耳に入ってくる。
その声は透き通っていた。
とてもきれいな声であたしを包んでいた。
数え切れないほどの涙があふれた。














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