3 …回収って私のコトだよね?
マスター友達
「お前、知らなかったのか?」
マスターのお友達がケータイを見せる。
画面には
【天音アメ 緊急回収】
ボカロ一の舌滑の悪さを持つ天音アメ。
購入者からの批判が多く回収を決定した。
店頭にあるすべての商品を回収済み
すでに購入した方はお近くのアニメイトまでお越しくださいませ。
と書かれていた。
そっか、もう…二度とインストールされることないんだ。
回収されたらずっと暗闇にいつづけるんだ。
手が…、震える…
―ギュッ
そんな手を握ってくれたハレ。
ハレを見ると辛そうな顔で笑っていた。
みんなも暗い顔をしていた。
…こんなに優しい人達を困らせちゃダメだ…。
アメ
「大丈夫ですよ…大丈夫…。楽しかったです…初めてインストールされてこんなに楽しい思いをしました…本当に、ありがとうございます…」
ミク
「アメちゃん…」
そうだよ、よかったじゃん!
こんなに楽しい思い出ができて…。
―ポロッ
あ、
あぁ、
泣いちゃ…
ダメなのに…
―ポロポロ
止まんない
どうしよう
捨てないで
捨てないで
「ッ捨てないで…ぇえ」