『ずるずるずる』
お人よしすぎる自分に呆れる。
目の前にある入部届けを見て私はただ後悔するしかなかったのだ。
【お遊び部】
ただただ遊ぶだけの部。
部とは呼べない部。
無理やり入らされた部。
姫香
「ハァ…」
今日は帰ろう。
そして退部届けをもらおう。
教室を出て廊下を見回す。
いつあの人達がくるか分からない。
足音も立てずそして素早く昇降口に向かった。
姫香
「あ…」
途中藍川真広先輩を見つけた。
彼は私の片思いの相手。
手の届かない人。
しばらく彼を見つめていると彼が振り返った。
真広
「…何」
姫香
「う、ううん!なんでもないですッ///!!」
すごく緊張する。
でも、だめなんだ。
真広
「ふーん」
彼は興味もない人を見る目はとても綺麗で、怖い。
そんな彼に引き込まれそうになるけれど我慢しなきゃ…。
だって、だって彼にはもう…。
由衣
「真広ー」
真広
「おせーよ」
もう、相手がいるんだから。
くるくるふわふわの髪にパッチリとした目。
みんなから人気ですごく可愛い子一つ上の先輩。
最初から無理だったんだ。
私なんかが恋していい相手じゃなかったんだ。
姫香
「(わかってるのに…)」
わかっているはずなのに。
いつまでも見てしまう私は本当に馬鹿だ。
私は逃げるように昇降口に向かった。
もうやだ、こんな自分大嫌い。
姫香
「ハァ…ハァ……」
真広くんの目を思い出す。
姫香
「(…叶うわけ、ないのに)」
靴を履き替えていると後ろに気配を感じた。
涼介
「やっと見つけたぞ、姫香!!」
姫香
「うわ!!!」
ビックリしてよろけた。
そのまま声のする方へと倒れた。
涼介
「何してんだ、お前?」
見上げるとそこにはいてほしくない人がいた。
お遊び部の先輩、蒼井涼介だ。
姫香
「…」
涼介
「何見てんだよ」
姫香
「あの、今日は帰ります」
涼介
「却下」
襟を掴まれてそのまま引きずられる。
首!!首しまってる!!!
姫香
「せ、先輩、くるしッ」
涼介
「うるせー逃げるだろうがお前」
襟から手を離しリュックを掴まれた。
今までシリアスだったのに…。
そのまま意味の分からない部活の活動場である部室に向かうことになった。
(涼介先輩、階段もこのままですか)
(おう!!!!)
(…泣)