傷つけたくないな…

【パン粉視点】




 きーちゃんと恋の報告を受け、耐えきれず耳をふさいだままの私にはどうしても理解できなかった。
いつもあんなに仲良く話してきた友達が敵だなんて信じられなかった。





ケント
「もう少しでみんなきてくれるよ」


パン粉
「…うん」





 すぐに駆けつけてくれたケントはパソコンを広げている。
丁度電気が通っている建前だった。





パン粉
「ホントに右陰や飛鳥だったのかな…」


ケント
「外見は右陰たちでも中身は違う人だったりする、かもね」





 確率は低いけどと付け足しケントはパソコンを操作している。
画面は12分割され、それぞれ違うフィールドの画面が映し出されていた。





パン粉
「それでも誰かを傷つけたくないな…」


ケント
「…パン粉ちゃんは持ってきた武器ためした?」


パン粉
「ううん、まだ何もしてないよ」


ケント
「ちょっと試しに打ってみな」





 ケントが指をさしたのは落ちていた空き缶だった。緊張しつつ引金を引く。





―パァンッッッ





 ものすごい銃声が建物に響く。
目を瞑っていたので狙いが定まらなかった。





ケント
「大当たりー」





 ケントが拍手をしながら空き缶を持っていた。
空き缶は貫通したような穴があり、まわりが黒くなっていた。
つまり、当たった…?





パン粉
「嘘、目瞑ってたのに?!」


ケント
「なんだか俺ら自分の持ってきた武器はプロ並みに使いこなせるみたい」


パン粉
「…ありえないよ…」


ケント
「俺もさ、パソコンなんか人並みにしか出来なかったんだけど今じゃカメラ操作とかもできる」





 確かにケントのパソコンを操作しているのを見ていたがさっぱりわからなかった。
銃も初めてにしては軽く打てた気がする。





ケント
「あ、良くんから通信きた」


パン粉
「聞こう聞こう」



《今ビルの前だけど、今の銃声敵ですか?》


ケント
「あぁ大丈夫、試し打ちだよ」


よもぎ
《なんだぁよかった》


ケント
「とりあえず三階まできてくださーい」


よもぎ
《了解ー》





 案外元気そうなよもぎと良の声を聞き、少し驚く。





パン粉
「後はきーちゃんたちだけだね…」


ケント
「もう結構近くまで来てるみたいだよ」






 モニターにはナビのように動き回るオレンジの点と黄色い点が私たちのいるビルに近づいていた。





パン粉
「あれ…?」


ケント
「どうしたの?」





 今カメラの森らへんの画面に影が映ったような…。
しばらく凝視する。





ケント
「…誰かいるね」


パン粉
「う、ん…」


ケント
「ちょっといい?」





 パソコンの前に座りカタカタと操作しだす。
どうやらカメラの移動と拡大をしているようだ。





パン粉
「ストップ!!」


ケント
「うわわ」





 急いで画面を停止してもらい拡大してもらう。





ケント
「…乃愛だ」


パン粉
「乃愛まで…他にも誰かいるよ」


ケント
「これ以上横向けないや…」





 気になるが、仕方ない。
影がちらほら映っている。




ケント
「えーと、こちらケント、森ステージにて相手を確認、とりあえず予定通り廃ビルに向かってください」



《了解》


よもぎ
《了解ー》


葵爽
《おう》



《ラジャー》





 ケントは落ち着いて通信したあともう一度画面を戻し乃愛の姿を確認する。





ケント
「乃愛…」





 …。
右陰、飛鳥、乃愛までここにいるなんて…。





 誰がこんなゲームを作ったのだろう。
私たちに、何を求めているの…?





by 恋

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