誰でもいいから…



「なぁよもぎ」


「んー?」


「それ、重くね?」





 よもぎはずるずるとバズーカを引きずっている。
絶対ェ邪魔だろう、てかなんででけぇ武器持ってきた…。





「いや、全然ヘーキだいじょーブイッ」


「あっそ…」





 俺の腰にささっている拳銃二丁に少し触れて空を見る。
これ、作り物なのかな…。
つーかここどこだよ…。





「あのさー相手ってどんな人かな、化け物かな」


「こえーこと言うなよ…」


「いやだってほら、うにょうにょしてる敵とかだったらどうする!?」





 触手プr…。
いや、やめておこう。





「あとさぁ、あんま無理すんなよ…?」





 仮にも女なんだし…。





「んー、なんでー?」


「痛いのはいやだろ?」


「確かに!」




 よもぎはヘヘッと笑い俺の前までサササッと走りくるっと振り返る。
太陽のせいかしらないけどやけに輝いていた。





「大丈夫だよ」


「なんでんなことわかんだよ!」





 心配してんのに…。





「だって良が守ってくれるでしょう?」


「…まぁ、な」





 ほんと、かなわねぇーな…。
横目でよもぎを見るとしゃがんでいた。





「何してんだ?」


「なんか、音しない?イヤホン」


「イヤホン?」





 そう言われイヤホンに集中する。
確かに何か聞こえる。





「なんの音だ…」


「しっ」





 人差し指を俺の口近くに突き出すよもぎの顔は真剣だった。





「ッ良、まずいかもしんない!!!」


「なんだよ急に!?」





 急に焦りだしたよもぎは明らかに不安そうな顔をしている。
とりあえず落ち着かせ状況を確認する。





「いいいい、今葵爽と恋の声が、声が…!!!」





 震えている。
明らかにおかしい。
とにかく俺もちゃんと聞く。





《のが……い…》





 聞こえた、が、誰の声だ…!!!??





「誰の、声だ…」


「聞いたこと…ある……」





 そう言われてみれば…。




《ケントです、良くんとよもぎちゃん、聞こえる?》





 突然の通信。





「聞こえる」


「ねぇ、ケントッ葵爽が、恋も…!!!」





 かなり混乱しているよもぎはマイクを必死に握っている。





《よもぎちゃん、落ち着いて…そのことなんだけど》





 よく聞くとケントさんの声と一緒にパン粉の泣き声が聞こえた。





《きーくんと恋が敵と遭遇した、怪我は恋の右肩がちょっと切れた》





「相手は!!????」





 なんだか俺も冷静を見失ってきた。
一気に緊張する。





《それが…右陰ちゃんと、柊ちゃんだったらしい…》





 一瞬時が止まった。
よもぎも振るえがピタッと止まった。





「ケン、ト…なに…いっているの…?」


《…》


「そんなわけ、ないじゃん……だって、友達だよ…?」





 よもぎも俺も信じられなかった。
動けなかった。





《ごめん…俺も信じたくないけど、本当のことなんだ》





 ケントさんの声も少し小さくなってきた。





―ザッザザッ





 通信が入ってきた。
立ち止まったままの俺らは焦点があわずただ汗だけが噴出す。





《えーと、こちらはぁ…葵爽だ…》





 高まった気持ちが一気にもれる





「葵爽、お前本当に飛鳥と右陰見たのか!!???てか恋さんは!!???」


「きーちゃん、違うでしょう!?ねぇ違うって言ってよ!!!」





 俺もよもぎも聞きたいことを全部吐き出しそうになる。





《ちょ、ちょっと待て!!とりあえず…このゲームかなりやばいんだ…》





 やばい?





《俺らが思っている以上にまずい…》


「何がまずいんだよ!!」


「良!」





 思わず強い口調で言ってしまった。
不安そうなよもぎを見てなんとか落ち着かせる。
あせるな、大丈夫。





《俺らさっき飛鳥に攻撃されたんだ》


「うん」


《んで、その後戦闘になってな…》


「戦ったのか?相手は飛鳥たちなんだろう!?」


《あぁ…》


「嘘、だろ…?」





 友達思いの葵爽がそんなことするわけない。
あまりにも信じられなかった。




《俺だって攻撃なんてしたくなかったんだよ…》


「じゃあ、どうして…」





《制御できなかったんだよ…だから、俺…俺…》





 様子がおかしい。
制御できない?
止められないのか!?





《気づいたらさ……飛鳥の右足の骨が砕けた音がした…》





「なっ………」


「ぅ、嘘……」





 一気に心臓が高鳴る。
よもぎは後ろによろけ、ペタンと座り込む。





 なぁ、誰でもいいからさ。
これは夢だって言ってくれ。
起きたらみんなが笑っていて楽しく話していてほしい。
夜更かしまでして意味わかんねーこと話してほしい。





なぁ、誰でもいいからさ。





by恋

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