誰かの声





 うわああああ、え、ちょ、うわああああああ!!!
すみません、ケントです。
今銃声聞こえたんだけどぉおおおお!!





「(もうやだー、パン粉ちゃん大丈夫かなぁ…)」





 通信機を適当に操作して全員につなげる。





「もしもーし、銃声聞こえた人ー?」


《聞こえたぁああああ》





 一番早くに返事がきたのはパン粉ちゃんだった。





《ほいほーい、聞こえたかなり近くでな》





 次にきーくんの声だ。





《こっち聞こえなかったなぁ、大丈夫なの?》





 次に恋。
あの銃声が聞こえないほどでかい施設なのかなここは。
それとも、防音的な建物があるとか…?





《良、だけどよもぎと合流した、少しだけど聞こえたよ》





 良くんとよもぎちゃんも大丈夫のようだ。





「じゃあ、あの銃声は相手かぁ」


《試し撃ちってやつかなぁ…?》





 パン粉ちゃんの不安そうな声に足を急がす。
どうやら銃声に一番近そうなのはきーくんのようだ。




《葵爽んとこ危ないなぁ》


《俺も恋さんに賛成です、葵爽辺り警戒しておいたほうがいいぞ》


《おう、了解》





 みんなの明るい声に少し安心した。





《ねぇ、一回みんなで集まらない?》





 よもぎちゃんの意見に反論はなかった。
ただ、





「移動すると相手に出会う可能性が高くなるんだよねー…」


《でもいずれは行動しなきゃだしな》





 きーくんの声でかなり安心できた。




《でも一様あたしきーちゃんのとこ行くよ》


《場所わかるか?》


《発信機もあるし平気っしょ!》


《気をつけろよ…?》





 そんな会話を聞きつつ俺はパン粉ちゃんのいる廃ビルへと急いだ。





――――






「さてと」





 どーも私です、恋です。
通信を終えてきーちゃんの元へと走り出す。
なんか、ドキドキって言うかかなりわくわくしている。
かなり意味不な状況なのにすごく楽しい気分になっている…。





「きーちゃん、聞こえる?」


《ん、おう》


「なんかね、楽しい」


《楽しそうだもんなwでも気をつけろよな》


「そうだね」





 浮かれすぎてやられるなんてかっこ悪いしね。
だいぶ走り、きーちゃんの近くまでやってきた。





「………ど」





 誰かの声がした。
さっとしゃがみ茂みに隠れて息をとめた。
二、三人くらいかな?
発信機にはきーちゃんしか反応していないので敵だと思う。





「(きーちゃんに知らせないと!!)」





 今しゃべったら間違いなくばれる距離に相手がいる。
やばい、どうしよう、やばいって!!!





「誰かいる!!」





 ばれた!!???
あたしか、きーちゃんか…!!
汗が垂れだした。





「ってあれ、きーくん……?」





 やばい、葵爽だ!!
止むを得ない!!





―ガサッ





「葵爽!!!逃げて!!!!」





 大声を出す。
もうばれるとかそんなんどうでもよくて、葵爽を目で追う。
あぁもう草じゃま!!!!






なんとか草を掻き分けて視界が広がる。
そこで気づく。





「右陰に…柊…!!???」





 葵爽を襲っている相手が自分たちの知り合いであることに。





by恋

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