おいかけっこ
風太
「もう逃げられませんよ、戦いましょうよ」
―バァンッ
恋が隠れているだろう壁に発砲。
まぁ無駄撃ちは誰かさんに怒られるからもうやめておこう。
風太
「追いかけっこより戦ったほうがあんたも好きでしょ」
恋
「確かに」
悪趣味め…。
とりあえず今の返事でそこにいるのは確実。
風太
「なら…」
恋
「うるさいな、風太みたいに無駄撃ちするほど余裕じゃないんだよ」
風太
「体力不足ですか」
恋
「うん、さすがに運動しとけばよかった…」
ちょいちょい息を整えている。
まぁ確かにかなり走ったもんな…。
風太
「大丈夫ですか?」
恋
「大丈夫、よし」
なんだか気の抜けるような感じだ。
俺も相手の心配しちゃったし。
銃を構える。
恋
「よいしょ、あれ、何銃構えてんの?」
風太
「いや、戦うんでしょ?」
恋
「まぁちょっと休憩!」
なんだこの人…。
刀を戻し俺の近くまでヘラヘラしながら近づく。
恋
「君に情報を提供してやろう」
風太
「は…?」
俺の隣にきて「まぁ座れ」といって来る。
座るか…。
風太
「で、情報って?」
恋
「うん、よもぎと柊がゲームオーバー」
一瞬耳を疑った。
淡々と話すこの人にどこか恐怖心を感じた。
風太
「…嘘だろ?」
恋
「ホントだよ」
風太
「なんで…誰に…!!」
恋
「んー、よもぎは柊にやられてそれに怒った良たんが柊をグサッと」
この人の態度にイライラした。
人が死んだのに…。
風太
「…」
恋
「これはゲームだよ、風太」
立ち上がった恋は俺を見くびるような目で見てくる。
恋
「そろそろ始めようか、ゲームをさ」
本気でこの人をやろうと思った。
なんだかこのままこのゲームにこの人が参加していたらだめな気がする。
風太
「負けませんよ」
恋
「本気でそう思ってんの?」
風太
「俺はいつでも本気ですッ!」
―バァンッッ
重たい引き金を引き恋目掛けて放つ。
それを避けた恋は勢いよく近づいてきた。
恋
「近距離だと相手の顔見れるから面白いよね」
風太
「頭イってんすか」
恋
「いますっごくいい顔してるよ、"ふーにゃん"」
風太
「にゃん言うな!!!!」
蹴りを恋の腹に当てる。
思いっきり入った。
恋
「ッッッ」
少しよろけたところを狙って撃つ。
―バァンッッ
恋
「危ないなー」
当てたと思ったがまだ立っていた。
風太
「しぶといっすね」
恋
「ゴキブリみたいっしょ」
風太
「G嫌いなんですよねー…叩き潰す!!!」
リロードして恋の足元を撃ちながら体力を奪う。
恋
「完全にゴキブリ扱いだねー」
風太
「…!」
しまった、恋が近づいてきた。
近距離戦はだめだ!!
とりあえず足をあげる。
が受け止められてしまった。
恋
「甘いあまーい」
風太
「柔道やったことあります?」
ぐいっと恋の襟を掴み手前に引く。
さすがに女だ、そこまで抵抗されない。
そのまま軸足を払い地面に転がす。
恋
「グッガッッ」
そのまま銃口を恋の額に当てる。
恋
「ゲホッゴホッッ…あ"ー油断したなー…」
風太
「余計なことしゃべってるからですよ」
恋
「あー…パン粉、聞こえるー?」
通信機をいじりだす恋に呆れた。
状況をわかってないのか…。
恋
「うん、そう、風太に殺されちゃいそう」
風太
「あの…」
恋
「…ん」
俺にイヤホンを渡してきた。
大丈夫か…?
銃口を向けたまま耳にした。
パン粉
《ふーくん!!そんなことしちゃだめ!!!》
風太
「え、あの…」
パン粉
《そういうことする子じゃないでしょう?》
風太
「え、えーと…」
パン粉
《もうふーくんとは口聞かないよ》
風太
「えぇえ、なんでですか…!!!」
耳からイヤホンがはずされた。
恋はそこにはいなくてすでに走りだしていた。
畜生また鬼ごっこかよ!!!!
恋
「良たん聞こえる!!?」
良
《ハァ…ハァ…はい》
恋
「今戦える?」
良
「…はい」
恋
「なら今から風太もってくから一緒に戦ってくれない?」
良
「いいですけど、もってくる?」
恋
「追いかけっこなう」
良
「頑張ってください」
風太
「(パン粉先輩は卑怯だろーが…!!!)」
by 恋
[ 16/17 ][*prev] [next#]
[back]