ごめんね






―カチャガシャン





 リロードを済ませ、右陰と柊が来るのを待っている。
よもぎはもう反対の壁に身を潜めている。






「!」





 右陰だけが出てきた。
柊はどこだ?
よもぎを見てうなずき、攻撃を仕掛ける体制に入る。
隙間からチラリとのぞく。






「(あれ?)」





 右陰の姿がない。
どこにいった…?
もしかして、バレている?!





よもぎ
「ッ良後ろ!!!」





―バァン





 よもぎの声で少し体制をくずしたので頬にかすり傷を負った程度ですんだ。
あっぶねー…。





右陰
「あれ、避けれたんだ?」



「ッチ」





 右陰は馬鹿にしたような顔で銃を構える。
俺もそれに合わせて銃を構え撃つ。





よもぎ
「良、伏せて!!」





 よもぎに従い後ろを見るとバズーカを構えているよもぎがいた。
重そうな引き金を引き右陰目掛けて撃つ。






「やったか!?」


よもぎ
「あれ、いない!!」





 とりあえずどこか隠れられる場所に移動して考えることにした。





よもぎ
「右陰は?」



「来てないな、つか柊はどこだ」


よもぎ
「二手に分かれたとか?」



「それはねーだろ、危険な状況に一人とか」


よもぎ
「そっかー…」





 どこかにいるだろうな…。
とりあえずよもぎだけは守りたいし…。






「ケントさん、こっちの状況わかります?」



ケント
《こっからじゃ見えない、パン粉ちゃんちょっと上行って良くんたちの見てきてくれる!??》



パン粉
《わかった!》





 パン粉が移動するまで待機か…。





よもぎ
「良、足音が聞こえる」



「右陰か…?」





 よもぎは耳がいい。
俺には全然聞こえない。




よもぎ
「近づいてきてる…」



「…いくか」


よもぎ
「え、でも…」



「大丈夫だよ、ちゃんと戻ってくる」


よもぎ
「…うん」



「一人にはさせないよ」


よもぎ
「援護はするよ」



「…よろしく!」





 足音の方向へ一気に駆け出し撃つ。




―バァンッッ





 銃声が辺りに響いた後目を疑った。
こちらを見ているのはasteriskだった。






「ッ右陰は!!???」


asterisk
「さァね」





 やばいな、この状況は。
三人も敵がいる…。




―ドカーン





 バズーカの音だ。
振り返りよもぎを探す。
だめだ、焦る。
落ち着け!!






「よもぎ!!!おい、よもぎ!!!!!」





 返事はない。
もしかして…。
だめだ、マイナスなことしか考えられない。





―ガチャ





 後頭部に冷たいものが当たる。
嫌でもわかる。






「ッチ」





 チラリと振り返ると右陰がいた。






「最初っから三人いたのかよ」


右陰
「いや、あすさんはたまたまいたんですよ」



「不思議だな、普通に殺せるんだから」


右陰
「…ッ」





 精神的に攻めるか…?
友達想いの右陰ならなんとかなる気がする。
俺がスゲー悪役になるだけだけど…。






「撃たねーの?」


右陰
「…うるさい」



「ほら、撃てよ」





―ガシャン





 銃を捨て両手を挙げる。
どうだ!?
額に汗がたまる。





右陰
「お、俺は…」





 今だ。





―バッ





 勢いよく右陰の手を蹴り素早く右陰の落とした銃を拾う。






右陰
「うぅ…」



「悪いな」


右陰
「まるでどっかの悪役だね…」



「そーだな」





 どうするか…。
俺だって右陰を撃ちたくない。
そんなことよりよもぎのところに行きたい。






「…柊は」


右陰
「俺もわかんない、たぶんよもぎと…」





 右陰は諦めたようにその場に座り込む。
…てか。






「…パンツ見えてるぞ」


右陰
「///!!?」





―バッ





 …ここはノーコメントで///。





右陰
「り、良くんこそ早く撃ちなよ」



「あぁ…」





 右陰に近づき銃を額に当てる。
うわ、すげーやな気分。





―ダァンッッ





「!?」





 足元に発砲された。
そこにはasteriskがいた。





asterisk
「右陰、早く」


右陰
「…はい」





 いそいで右陰の足を狙い撃つ。
が、リロードされていなかったため不発。






「クソッ!!」





 さっき捨てた俺の銃を取り構えると二人は既に遠くに行ってしまった。






「畜生…」





 そういえば通信機がない。
どうやら無くしてしまったようだ。
こんなときに…。
とりあえずよもぎの元まで急ぐ。












「よもぎ!!おいよもぎ!!!!」





 先ほどの場所にはいなかった。
ただ、そこには血の跡があり、それは道を作っていた。





―ゾクッ





 背筋が凍る。
この先によもぎがいる。






 しばらく道にそって歩くと手が見えた。
おい、おいおい…。





 もしこの手がよもぎだったら…。
鼓動が速まる。





見たくない。
…でも……!





決心し、銃を構えながらそっと顔を出す。





 血の気が引いた。






「…嘘、だろ……」





そこには


うつ伏せになっている


血まみれのよもぎがいた。






「おい…よもぎ……?」





 近づきよもぎを抱き上げる。





よもぎ
「ヴゥ…ァ……」





 まだ生きてる!!???






「よもぎ、まだ生きてるんだな、すぐパン粉んとこに行くから…」


よもぎ
「……ァ…ゥウ…」



「しゃべんな、すぐつれてくから」





 急いで抱き上げようとするが腕を掴まれた。






「どうした…?」





 よもぎは首を小さく振った。






「何言ってんだよ、早くいくぞ」





 よもぎは血まみれの指を動かし砂に文字を書き出す。






「…よもぎ?何…言ってんだよ…変な冗談やめろよ…」





 声が震える。
すべて書き終えたよもぎは小さく笑って口を動かす。





 "ご め ん ね"






「待て、おいよもぎ!!よもぎ!!!」





 よもぎの残した文字にはこう書いてあった。





『私はもうだめみたい
 戻ってきてくれて
 ありがとう
 早く、終わらせてきてね
 向こうで待ってます 』






「…なんだよこれ…よもぎ?」






「返事…してくれよ…」





 なぁ、頼むよ…。
強く抱きしめる。
どんどん消えていくよもぎの身体。







「…」





 残されたマイクと通信機とバズーカを手に取り歩き出す。
相打ちなんだ、きっと飛鳥もどこかにいるはず。












【 よもぎ GAME OVER 】













―パチパチパチ





「実にいい展開だ」





 暗い部屋で拍手をする二人。
目の前には大きなモニターがありすべてのプレイヤーを映し出す。





「ちゃんと録画できた?」


「もちろん、これならあの人も喜ぶよ」





 椅子をギィと言わせながら後ろを振り返る。





「おかえり、よもぎ」





 真っ白な部屋にはよもぎがそこにうつ伏せになって倒れている。






「飛鳥はしぶといなー…でも」


「もうすぐ…ね」





 ニヤッと笑みを浮かべ黒いフードをかぶり直す。







by恋



(フラグ回収早すぎた…)

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