滝エリアにて

【パン粉視点】





ケント
「あーあ、廃病院は近いなぁ」





 監視カメラを見ながらヘラヘラしているケント。
監視カメラの映像では右陰と飛鳥と乃愛が病院に入っていくのが見えた。
飛鳥は足を引きずりながら。






「攻めに来ますかね」





 良とケントはモニターの前で相手の行動予測をしている。
一方私とよもぎはきーちゃんと恋と連絡しながら地図を作る。





よもぎ
「地図なんか初めて作るのぉ…」


パン粉
「私も初めてだよ」





 だから正確とはとても言いにくい。
現に曖昧なところもあるし。





葵爽
《そのまま南方向に滝がある、多分今までの川はここからだな》



よもぎ
「滝かぁ、水綺麗?」



葵爽
《魚とか泳いでるし綺麗なんじゃね?》



よもぎ
「葵爽飲んでみてっ」



葵爽
《えぇ?!》





 よもぎ、輝いてる…眩しい。





葵爽
《あっ》



パン粉
「どうしたの?」





 きーちゃんの声が無くなる。





よもぎ
「ケント、滝エリアのカメラ出して!」





 すでにモニターに映っている滝には誰も写ってなかった。
カメラを横に動かすとチラリと知らない服が見えた。





葵爽
《ケント、何人いる?》


ケント
「二人…ふーくんと朱璃ちゃん」



「朱璃まで参加してたのか…」





 が、モニターにはまだ服しか見えない。





よもぎ
「ね、どこに風太と朱璃いるの?」



「ほら、水面」





 水面には紛れもない風太と朱璃がいた。
電話してるのかな?





パン粉
「恋たち、戦うのかな」




《戦うよ》



葵爽
《おう》





 本気の二人はひっそりと隠れているようだ。





ケント
「とりあえずきーくんは二人の前で恋は二人の視界に映らなそうなとこで待機」




《ラジャ》


葵爽
《うぃっす》





 そう言いながら移動する二人。
恋がカメラに映った。
朱璃たちは気づいてないらしい。





パン粉
「あれ、良は?」


よもぎ
「廃病院見てるよ」





 高性能の双眼鏡は一つだけこのモニター室に置くことにした。
恐らくそれを使って窓から覗いたのだろう。





ケント
「じゃあきーくん攻撃開始まで10秒前、9、8、7」





 いよいよ戦闘開始。
一気に緊張感。





ケント
「3、2、1」





―ガサッッッ





 草を掻き分ける音がする。
もう私らは音しか聞くことが出来ない。





葵爽
《よぉお二人さん》


朱璃
《葵爽…!?》





 あぁ、私もこんな風に出会ってしまうんだろう。
出来てしまうのだろうか、私に。
自分の手をきつく握る。




《行きまーす》





 カメラに写っていた恋が動き出す。
すぐに画面外に行き刀の擦れる音がする。






《まさか朱璃とやるとはね》


朱璃
《恋、さんッッ》



《両手剣はうまく使えるかな?》


朱璃
《ッ舐めないでください!!》





―キンッ





 恋の言葉をメモする。


ケント
「きーくん、ふーくんの装弾数数えといてね」


葵爽
《了解》





 どんな銃を使っているのか、まだ私らにはわからない。





葵爽
《恋ッ!》





―ダァンッッ






《あっぶね…きーちゃんサンキュ》





 下がってきた恋とそれについていく風太の姿が見えた。
あれ、朱璃と風太交代したの?





よもぎ
「風太の武器なんだろ」


ケント
「んー…」





 ズームになる。
間違いなく銃だが30p以上はある。






《廃病院、右陰と柊出てきた》


ケント
「あ、了解」



《行きます?》


ケント
「うん、よもぎちゃんと良くん行ってきてくれる?」



《はい》


よもぎ
「よっし」





 あぁ、みんな行っちゃう。
よもぎはバズーカを軽々しく担ぐ。





ケント
「…気を付けてね」


よもぎ
「うん」





 良とよもぎが出ていった。





パン粉
「私は…?」


ケント
「まだ、大丈夫」


パン粉
「…そっか」





 なんとなく、わかった。
私は今戦ったら必ず負けるから。
私は、使えない。





 ちょっと安心した私に嫌気がした。





by管理人

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