1oだけでいいので




 じー。





じーーーーっ。





カノ
「ユノ、何してんの?」


ユノ
「能力の練習」


カノ
「ふーん」





 秘密基地のような部屋でソファに座りながら読めもしない本をテーブルの上に立ててそれに集中する。
まぁこんなことを隣でやられたら疑問を持つに違いない。
私の能力はたまにでる。
不定期で自分で制御できない。





カノ
「で、その本1oも動いてないけど」


ユノ
「1oくらいは動いたのでは?」


カノ
「いや全く」





 ガクッとテーブルに突っ伏す。
あーあ、まだ出来ないのかー…。
ボスッと倒れてきた本に頭を打たれつつため息をつく。





カノ
「幸せ逃げるよ?」


ユノ
「吸っていいよ?」


カノ
「いらないよ」





 むー…。





ユノ
「あれ、キドは?」


カノ
「あー新入り候補の様子見に行ったんじゃない?」


ユノ
「カノは行かなくていいの?」


カノ
「眠いからいーや」





 そんなんでいいのか…。
メカクシ団(まだよくわからない)という団の団長であるキドはきっと苦労しているんだろうなぁ。





カノ
「んー…寝る」


ユノ
「はいはーい」





―ギュッ





 お腹の辺りに腕をまわされ、抱きしめられた。
一気にカノの温もりが伝わってくる。





ユノ
「どうしたのー?」


カノ
「一緒寝る?」


ユノ
「夜寝れなくなっちゃう」


カノ
「子供」


ユノ
「えへへ」





 そう言いながら目を閉じるカノ。
え、この体制で寝ちゃうの?






ユノ
「(…まぁ、いっか)」






 そのまま能力の練習を続行することにした。











(倒れてください本様)
(いつか完璧に読んで見せますので)

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