どうも、"強がり恋歌"でもたまぁに出てる夢希です。
そんな影の薄いキャラですが、本日は舞い上がっています。
なんでかって?
「おい夢希、やっぱ俺スカートはけねぇよ…」
そんなの目の前の先輩と念願の二人きりデートができているからに決まってる!!!!
中学生の時から憧れの先輩だ。
優しくて、かっこよくて、頼れる先輩。
男だけど俺はこの先輩を好きになってしまった。
もちろん恋愛感情でだ。
「先輩、すっげー可愛いです///!!」
「可愛いとかゆーな気持ち悪ィ」
そんな先輩はなんと、女の子の姿になっていた。
原因は不明らしい。
普通ならあり得ないけど先輩が言うなら信じる。
「おい夢希、なんでスカートかごに入れてんだよ」
「え、可愛かったから」
「却下」
「えー…」
先輩はスカートを元の場所に返す。
…あとで買っておこう。
カード一括で。(夢希は金持ち)
あ、この服可愛いなぁ…。
「ちょっと疲れたな…そこのカフェ寄るかって夢希?」
「夢希ー?お前女装趣味?」
「なッッ違いますよッッッ」
「着たそうな目で見てたから」
「そんな目で見てないです!!!」
へんな誤解がァアァアアァアアアァァァアァアァァ!!!
ただ先輩に似合いそうだったから…。
「てゆーか先輩、その服男もんですよ」
「いやぁ…これいいな」
「先輩はこっち!!」
グイグイと引っ張って女もんの服屋に連れていく。
「お前、あんがいエロい服好きだな」
「え///?!そんなことないです!!!!」
「その持ってる服とかエロいじゃん?」
ニヤニヤしながらこちらを見る先輩。
この顔の先輩もか、可愛いなあぁああ///
「と、とにかくこれも是非買いましょう!!!」
「バイト代が一気に飛ぶ値段だなー…」
「あれ、先輩バイトしてるんですか?」
「まーな、お前もやるかー?」
「先輩と同じところでですか!!???」
「おー」
おいおいおいおいいおいおいおいおい!!!!
今の笑顔もものすっごく可愛いけどバイト!?
先輩と、俺でバイト!!????
「ちょうど唯太がやめたいって言ってたしな」
唯太という単語にピクッときたが、今この二人きりの状況を考え直し落ち着かせる。
服をレジに通す。
若干赤面している先輩を抱きしめたくなったが我慢した。
店を後にして道をゆっくり歩く。
「どんなバイトなんですか?」
「知り合いが個人で営業してるファミレスみたいな」
「へー」
どんな服装なんだろう、先輩に接客してもらえるのかな。
「お前、またエロい顔してるぞ…」
「ッんなことないです///!!!」
「どーだか、あ、俺寮あっちだから、じゃーな!」
「あ、はい…」
あーあ、もうお別れか…。
ちっこくなった秋那先輩の背中を見つめる。
髪まで長くて、かっこよかった拳とかもちっこくて。
こんなに変わった先輩を見ても、ドキドキは止まらなかった。
「どんな姿でも俺は先輩が好きだよ…」
なんてつぶやいて、ちょっと恥ずかしくなる。
そしたら先輩が振り返る。
え、聞こえてた!!?
「夢希ー!俺、アドレスとかケー番変わってねーから連絡しろよー!」
高くなった先輩の声が響く。
…ほらね。
―ドキドキ
「はい!!!!」
また先輩にドキドキしてる。
無邪気に手を振りまたまっすぐを見て帰っていった。
先輩の姿が見えなくなってその場にしゃがむ。
「(ちくしょー…すっげー可愛いなぁおい…///)」
(夢希お兄ちゃん、携帯握って何してんの?)
(べ、別に…!!)
(顔真っ赤だよー?)
(うっせー!!いいから早く服着ろ!!)
(お兄ちゃんのえっちー)
(俺は女に興味ない!!)
(…え?)
← → /
戻