「ねぇねぇ宮川くん?」



 「なんだよ下原くん」



 「教室入んないの?」



 「そ、そうだな…」





 今更ドキドキしてきた。
身体の変化がありすぎる…。
第一声が高い。





 「大丈夫だよ、可愛いし」



 「そーゆー問題じゃねぇ」



 「襲われそうになったら、俺が守るし」





 …なんだこいつ。
口説いてんのか?
てゆーか…





 「お前に襲われそうだよ」



 「…お気をつけて♪」





 だめだこいつ…。






 「あのぅ、チャイム鳴ったんで教室入ってくださぁい」





 担任の佐野ちゃんがきた。
この人はちっさくて童顔。
地味ぃズのロリコンの中でも人気の教師だ。





 「はいはーい、行こ!」





 俺の手を引いて教室へ入る唯太。
やっぱ視線が突き刺さる。





 「「「「(なんだあのチビは)」」」」




 いつもの席に座る。
隣の奴がこっちカガン見してくる。





 「なぁ、秋那…?」



 「な、んだよ」





 一生懸命声を低くして返事を返す。
あぁ、裏目に出たか…。





 「秋那、別に隠す必要なくない?」



 「なんでだよ!つーか説明のしようがねェ」



 「ほい」




―ガッ





 一瞬でヅラが取られ、胸あたりまで伸びた髪がサラサラと動く。





 「何してんだよッッ!!」



 「ほら!秋那は昨日女の子になっちゃいましたぁ!仲よくしてあげてねぇ」





 何を言ってんだコイツは…。
どうすんだよ無理だよ馬鹿野郎!!





 「あぁ…やっぱ秋那か」



 「なんだ、びっくりしたー」



 「ほらぁ秋那くんも唯太くんもみんなもぉ!座って下さぁい!」





 …え?
え、何?!
なんで、誰も気にしないの!!!????馬鹿だろこいつら!!
さすが県で2番目に馬鹿高校!!





(お前ら…馬鹿だな)
(秋那は考えすぎなんだよぉ)



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