Episode:2


キーンコーンカーンコーン








終業のチャイムが鳴り響く。



今日もリトルバスターズの全員と野球の練習をするためにグラウンドへ向かう。



俺が急いでいて、前を見ていなかったのがいけなかった。




『きゃっ』




「うわっ」




人にぶつかってしまった。



慌ててその人に声をかける。



「おい、大丈夫か?すまなかったな。怪我はないか?」



『あ、大丈夫です…。すみません。』



相手は可愛い女の子だった。



俺が手を差し出すと、その子は俺の手をとって、立ち上がった。



(女の子にぶつかってしまったのか…。悪かったな…)



もう一度謝った。



「本当に悪かったな。前を見ていなかった」



『いえ、私も急いでいたものですから…。お気になさらないでください』



少女はにこっと笑うと、



『じゃあ私そろそろ行きますね』



そう言って走って行った。



俺はしばらくその後ろ姿を眺めていた。




彼女の姿が見えなくなったところで我にかえり、グラウンドに向かった。















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「よぉ恭介!遅かったな!先に始めてるぜ!!」




グラウンドではすでに練習が始まっており、真人がバッターボックスに入っていた。




鈴が球を投げる。




速い。




「ストライク!」




来ヶ谷が叫ぶ。




第二球。




ボールが理樹の構えるミットに吸い込まれるようだ。




「ストライクだぞ、井ノ原くん」




「…ちっ」




またストライク。



昔に比べ、コントロールも速さも格段に上がっている。




(いいぞ鈴…これはイケる)




俺は胸が熱くなってきた。





そして第三球目。





カキーン





気持ちのいい金属音がグラウンドに響く。





「ぅおらああああああ!!!!!」





真人が叫びながら一塁へ走る。




「させるかー!!」




鈴が一塁へボールを放る。




「はーい、鈴ちゃーん」




一塁は小毬だった。




「あらら」




ボールは小毬の横をすり抜けた。




「ごめんなさい〜!」




半泣き状態の小毬が急いでボールを追いかける。




…が、かなり遅い。




その間に真人は二塁、三塁へと走る。





三塁を踏んでさらにホームへ向かう真人。





「今度こそっ…させるかあああ!!!」




鈴が渾身の力を込めてボールをホームへ放る。





「「……っ!!」」





鈴の放ったボールが理樹のミットにおさまるのと、真人がホームベースを踏むのは同時だった。





…どっちだ!?





皆の視線が一斉に来ヶ谷へ向かう。






「…アウト」





「……ぬゎにぃ〜〜〜!!!!ちくしょー!!あともう少し速ければっ…!」





「やった!!見たか!!クズ!!」





「クズって言うなー!!!!!!」









リトルバスターズは今日も平和だ。











END








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「おう、恭介。早く着替えねーと練習時間なくなっちまうぞ」




「あ、ああ、そうだな。準備してくるぜ」










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