「相変わらず過疎ってるわねー」
「うるせえスーファミぶつけんぞ」

 ふと思い立ってゲーム研究部部室に顔を覗かせた小鳥は配線やらカセットやら攻略本の山の中で一言そう言い放った。
 ゲーム研究部通称ゲー研、本年度で創部から七年目を迎えるのだが如何せん部員数がまさしくギリギリなのである、それこそ廃部すれすれを低空飛行していると言っても過言ではないほどに。現在の部員数だって片手の指で足りてしまう程だ、過疎地域もいいところである。思ったままを口にした小鳥であったがどうやらゲー研所属の幼なじみの機嫌を損ねてしまったらしい。がちゃがちゃとキーボードをいじっていた幼なじみが妙ちきりんな悪態をついたので思わず笑ってしまった。

「部員の少なさは目下の問題だよなー、まぁ別に俺はどうでもいいんだけど」
「寧ろこのメンバーに辟易しない猛者が居るんだったら会ってみたいわ、あ、そのリンゴ上に飛ぶわよ」

 心底どうでもよさげに呟きながら画面を見つめる幼なじみ、九十九遊馬の発言に小鳥は呆れ半分にそう言い放つ。
 なんといってもカオスの権化と称されるゲー研をゲー研たらしめているのは数少ない部員の面子であった。稀代の暴走少年九十九遊馬をはじめとして、学園一の札付き神代凌牙に天使の顔した悪魔の部長ミハエル、さらには芸能科所属の大俳優奥平風也ときたものである、混沌もここまでくるといっそ清々しい。顔面偏差値及び部員のあくの強さは恐らくぶっちぎりだろう、死にゲーと名高いゲームを前にして奇声を上げる遊馬とその隣で腹を抱えて笑い転げる凌牙を見やった小鳥はため息をついた。


〜以下三人による会話より抜粋〜


「……で、部員勧誘する気はないの?」
「一切合切小指の爪の先程もねぇよ、大体俺らが勧誘しても見学に来るのは女だけだ」
「先輩が言うとどうあがいても嫌味にしか聞こえませんよ。あ、遊馬、そのトゲも上に飛……」
「ふぉわぁああぁぁぁ!?」
「ワンテンポ遅かったか……にしてもひでぇ鬼畜ゲーだなこりゃ」
「クリアまでの道のりは万里の長城ばりに遠そうですね、五ヶ月かかってやっとクリアに一千万ジンバブエドル」
「じゃあ三ヶ月に五千ペリカ」
「おいお前ら、揃いも揃って俺で賭けをすんな虚しくなるだろ」
「虚しくなったら俺が慰めてやるよ、遊馬……」
「待ってシャーク、その含みのある発言やめて、なんか薔薇っぽい」
「薔薇っぽいじゃなくて薔薇意識してんだよ、男同士の秘密の花園だぜ?」
「素直にホモって言ったらどうですか」
「ホモと薔薇は別物だぞ、観月。いいかホモってのはな、」
「俺を実験台にするのはやめろぉぉぉ!」



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