(男鹿葵)君はいとも簡単に※企画参加作品
「こっちくんじゃねー!」
『待って…行かないで…!』
「っるせ!!ヒルダ!!いくぞ!!」
「貴様はその程度だったのだ」
『男鹿!!男鹿!!』
カチコチ…リビングの時計は0時を少し過ぎた頃。
机に突っ伏して寝ていた葵は息苦しさと不快な汗で目を覚ました。
一人だけの部屋は広く、寂しい気分に襲われる。
「あれ…っ…?」
気が付けば頬を伝う涙。
「ぅ…ふっ…ぉがぁ…。」
不快な夢と寂しさが混ざりなんとも言えない不安が葵の胸を支配した。
「ただいま〜…って、あれ?」
ぱっ!!と電気の付いた玄関先から疲れきった声がした。
「え!?ちょ…な、なんでないてんだよ!?」
ジャケットを椅子に掛け、自分の奥さんの横に座る。
「おがぁ…。グズッ!!」
ぎゅっと抱きついて、肩口に顔を埋めて泣く葵を男鹿はそっと抱き締めた。
「んだよ…。泣くなよ、ほら、何があったかいってみ?」
「あのね…怒らない?」
「おう。」
「男鹿がね…ヒルダさんとどこかに行っちゃう夢を見たの。だから…この幸せも、結婚したのも、全部夢だったのかなぁ…て。そしたら、なんか涙出てきて…不安でね…悲しくなっ…。」
「アホか!!夢だったらお前、こんなことできねーだろ?」
ちゅっ…と吸い付いてくる彼の唇。
「あと、お前も男鹿だし…。そんで俺はお前以外好きにならねぇ。」
フワフワと頭を撫でてもらう内に葵の不安は消えていく。
(気持ちいなぁ…あったかい…。男鹿って凄いなぁ…、こんなに簡単に安心させてくれる。)
頭を撫でる大きな手が気持ちよくて、思わず笑みをこぼした。
「ねぇ辰巳、もっと撫でて…?」
スリスリとよってくる葵に思わず顔が緩む、と同時に必死で理性を保つ。
(ったく…なんでこいつはこうも簡単に俺の理性を壊してくるんだよ…)
「はぁ〜…もう無理!!葵今夜は寝かさねかも…。」
「なによそれ…って、ひゃあ///」
ごろん、と床に押し倒され、顔を真っ赤にする葵。
「やさしくする…。」
かぁぁあ…っと頬が熱くなるのを感じた。
「はぁ…もうあんたには一生敵わない気がする。」
真っ赤な顔で目を潤ませて軽くにらんでくる姿はかわいい以外のなにものでもない。
「なんだそれ?」
俺の方が敵わないっての…。
小さく呟きながらかわいい奥さんに甘い甘い口づけをした。
「ほんと、あんたには一生敵わない。」
END
企画に参加させて頂き、ありがとうございました(*´∇`*)
久々の作品でない脳みそを絞りながら書きました(笑)
楽しかったです!(*≧∀≦*)
ありがとうございました!!
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[mokuji]
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