(男鹿葵)願いよ叶え※ハロウィン企画(男鹿ヴァンパイア設定)
10歳のハロウィンで泣いている俺に、飴とマントをくれた女の子に恋をした。
そして、その彼女が昨年生まれたのだ。
もう、話せるようになったかと彼女のことを思うと胸が痛い。
あの日、彼女は言った。
「うぇっ…。あり…がと。ひっく…君は、誰?」
「よしよし…。アタシ?アタシは葵。邦枝葵よ。今から、10年後に生まれるの。」
あなたは?
そう聞かれた。
「ズビッ!!…俺は男鹿辰巳!!ヴァンパイアだ!!」
葵がくれたマントを着けてニカッと笑うと、信じていないであろう彼女はクスッと笑った。
「そっか♪じゃあ、辰巳…もう、泣いちゃダメだよ?また、10年後に会おうね。」
「おう!!」
そう言って闇の中へ消えていった。
ヴァンパイアは、5年に1度しか歳をとらない。
つまり、あの頃10歳だった俺は12歳なのだ。
16年後に葵に会うために、俺は人間の言葉を山のように勉強した。
ヴァンパイアは生きるために人間の血を飲まなくては行けない。
大きくなるにつれて、飲む量が少しだけ増えていく。
葵のためにしてきた努力は実ることになる。
人間の高校に入学が許されたのだ。
葵を探す。探す。探す。
そんな毎日を送っていた。
「いた!!葵。」
「?はい。」
「あ、あのー…っと…。」
見つけた葵は、26年前よりもきれいだった。
そして、過去に未来の葵に会ったなどと言えるはずもなく、俺は思わず黙ってしまった。
「ふふっ…。君、面白いね。」
唸ったり、赤くなったり、悩んだり…。
と言いながら笑ってくれた。
「お、俺、男鹿辰巳!!邦枝葵、お前がす、好きだ!!」
あの時のように笑ってみる。
すると、ほんのり赤く頬を染めた葵。
期待していいのか??
「す、好きとか急に言われても困るし…あなたのこと、よく知らないし…!!」
でも!!とか、言いながら付き合うことにOKを貰った。
幸せな日々が続くはずだった。
でも、俺がヴァンパイア試練を受けることになり、一年間離れることになった。
辛いときも、痛いときも葵のことを思い出して頑張った。
この試練が終われば葵に会える。
ついでに、一人前のヴァンパイアになれる。
また、幸せな日々が訪れる…と。
「久々の日本だぜ!!葵…今から、行くから。」
ヴァンパイア特有の人間に見えない速さで走り、動物より鋭い五感で葵を探す。
「いた!!」
駆け寄って、名前を呼ぶ。
全く人のいない体育倉庫だった。
振り返り、嬉しそうに笑った葵を抱きしめようとした。
ガブリ!!
「った!!辰巳!?」
気が付けば、葵の首に噛みつき血を吸っていた。
「ふっあ…やぁ…いたぁ!!」
クパァ…と口を離して唾を着けて傷を治す。
「!?大丈夫か!!葵!?」
「ん、痛かったけど…。ねぇ、辰巳、どうしたのよ?」
「葵…別れよう。」
「はぁ!?ワケわかんないんだけど!!」
俺は全てを話した。
ヴァンパイアについて、俺について。
「この牙は鉄のように固くて、血を啜るためにある。そんで葵を傷つける。俺の意思を無視して、人間の血を啜る。だから!!……」
お前を傷つけたくないから、別れよう。と言おうとしたら、葵の人差し指が俺の唇に当てられた。
「し―…。言わないで…。」
そうして、俺の目をまっすぐ見ていった。
「それなら、辰巳が牙を向く前にその口を…」
指がそっと、離れて葵の口元へいどうする。
「アタシの口で、塞いじゃおう……ね?」
そう言い終わった葵は、ちゅーと俺に口づけた。
「んぁ…ふぅ…。ねぇ、血なんかより、辰巳はアタシの息を吸って生きてけばいいのよ。鉄の牙も錆びちゃうぐらいに…。ずっと、離れないで…。」
そう言って、また唇を寄せてくる。
遠くで、子供の声が聞こえる。
そういえば、今日はハロウィンか…。
あの日と、同じだ。
なら、神様…30年前のように俺の願いを叶えてくれよ。
じゃないと、イタズラするぜ!?
―――人間になって、葵の隣にずっといたい。
ってな。
END
落ちがね!?(^o^)
ヤバイけど気にしない♪←
とにかく、間に合ってよかった〜(^q^)
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[mokuji]
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