(男鹿←葵)叶わないと知りながら
「で、どうなんだ?ヒルダさんとは?」
トクン
「ダメだわ…。今日もおはようすら言いやがらねー…。まぁ、カワイイからいいんだけどな…。」
「ま、男鹿みたいな奴には一生振り向いてくるないかもな!!」
「んだと、コラ!!古市ー!てめぇーのアドバイスが悪いじゃねぇーのかぁぁ!!」
教室で小声で交わされるこの会話…。
もう、なん十回も聴いているこの会話。
男鹿の顔を見ただけなのに速まる鼓動が彼の口から発せられる言葉に大きく跳ねる。
―――…「俺の好きな奴はヒルダだ。」
先月の末のことだった。
教室に忘れたノートを取りに戻ったら、教室から聞こえた声。
(この声は…男鹿?)
「で、なんだよ男鹿?」
「いいか、古市…。よーく聞けよ!!」
「好きな奴が出来た。」
(……え?)
「だ、誰だよ!?」
「俺の好きな奴はヒルダだ。」
(………ぇ?)
思わずその場に座り込んでしまった。
どこか、期待をしていた。
彼の見せる素振りが自分を好きだと言ってるようで…。
それとも、あれは…あたしだけじゃないのか?
―――…「心配すんな!俺がお前を守るって。」
―――…「ほら、後ろ乗れよ!!おくれるぞ?」
―――…「///お、おすな!!古市!!」
―――…「荷物…持ってやろーか?」
―――…「あぁ〜あ。血ぃ出ちまってんじゃねーか。ちょっと染みッぞ…。」
気が付けば夕暮れの公園のブランコで揺れていた。
「なに………してんだろ…。アタシ…。」
自分を好きなはずがないと心の奥で、覚悟していたのに…。
「好きって…こんなにつらいの?」
ボロボロとスカートにシミができる。
「……ばかぁ。」
涙で前が見えなくて、フラフラしながら家に帰った。
「声…聞きたいよ。」
気が付けば、朝だった。
「好きに…ならなきゃよかったらら。」
でも、どうすることもできなくて…。
あなたが好きで仕方なくて…。
あなたに話しかけられるだけで、姿を見るだけで、声を聞くだけで……………あなたの名前を聞くだけで苦しくて。
この気持ちは、止められなくて増すばかりで。
でも、かなわなくて。
「好き。」
こんなにはっきり言えるのに、あなたには伝えられなくて。
あなたを困らせたくなくて…。
「邦枝?顔色わりぃーぞ?大丈夫か?」
叶わないのに…好きじゃないのに…。
そんなに優しくしないで。
会えば会うほど苦しいのに…あなたからは抜けられない。
「ぅん!!大丈夫!な、なんにもないから!!」
「そっか、ムリすんなよ〜。」
だから今日もあなたがキライになれなくて…。
END
ふうさんが悲恋読みたいって言ってたので書いてみました←お前のとか、期待はずれ
ふうさん、書いたのが時希なんかですいません!!
あ、余談ながら管理人のリアルに基づいてます(`・ω・´)キリッ
だから、もしかしたら続くかもです〜(笑)
読んでくださってありがとうございました!!
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