(男鹿葵)俺流の辞書


「男鹿?何してるの?」

「あ?……おぉ、邦枝か。なにって辞書を作ってんだよ、見りゃわかんだろ。」

辞書を作る、などわけのわからないことを言いながら黙々と作業をする男鹿。

机には、小さいリングメモとボールペン、辞書………。

「作るって……。なんでよ?」

普通の辞書でいいでしょ?と小首を傾げる葵にポンッ!!と手渡されたリングメモ。

「この辞書は、お前に…だ。」

「はぁ…?」

少し照れたように言いながら、男鹿はどこかへ行ってしまった。

取り残された葵は、分けも分からず、メモを見た。


『男鹿流・辞書』

〔夢〕【名詞】邦枝と結婚する。

〔俺〕【名詞】邦枝のもの。

〔学校〕【名詞】邦枝に会える場所。

〔作る〕【動詞】邦枝になら。

〔かわいい〕【形容詞】邦枝。

〔ばか〕【動詞】 古市。

〔ヤクザ〕【名詞】神崎。

〔バイト〕【名詞】東条。

〔ボンボン〕【名詞】姫川。

〔クラス〕【名詞】の中で一番邦枝がいい。

………………。

そこには、多少の皆の悪口を含む葵への思いが詰められていた。
そして、全てに「お前は?」と言う欄があった。

〔恋人〕【名詞】邦枝だといい。

最後のページにはそう書いてあった。

だから、葵も書いてみた。

〔恋人〕【名詞】邦枝だといい。
私は男鹿だといい。

全てを書いて、それをまた机にそっと置いた。

未来の彼氏の机に………。


END

〔ばか〕【動詞】古市。
ばかは、名詞よ。


辞書に書いてあることが正しいかどうかと言う教科書のコラムより閃いた作品です☆(笑)


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