06
状況に着いてこれてない名前は、俺が抱っこして名前の部屋に行くまで、とくに抵抗せえへんかった。それどころか、なんや、固まってる気がすんねんけど。
部屋は当然真っ暗で、電気を付けなあかん時間帯や。せやけどそれはせずに、ベッドに直行して、降ろしたった。(ほんまは電気付けて、身体の隅々までみたいねんけど)(それはこれから何回でもできるから、今日はええんや)
「く、ら?」
名前を呼ばれた瞬間、ぞくぞくと背中に変な電流が走った。あ、かん、俺、絶対、早い。
とりあえず名前を寝かせて、足の間に組み敷く。月明かりでわずかに見える名前の表情を読み取りながら慎重に触れる。強引に、とか、絶対したない。ちゃんと、合意の上で、したい。名前が嫌や言うたら、やめなあかん。やめなあかんで、俺。
今の所抵抗はしてへん名前に、俺はちゅ、と触れるだけのキスをした。何度か繰り返して、今度は角度を変えながら、食い付くように口付けた。時折鼻を掠める名前のシャンプーの香りと吐息に、俺の体の熱はありえへんことになっとる。冷めることは一切合切なく、上昇気流に乗ったまま、無我夢中で名前の唇を貪った。
なんでこんな唇柔っこいんやろ。俺は両頬を優しく包んで、更に深く口付けた。「ん、ふ、っく、ら」とかたまに俺の名前を呼んでくれて、俺はもうそれだけでイキそうになる。頼むから、これ以上、興奮さすな、阿呆。
「名前、舌、出し」
「ん、ふぇ?」
俺の言うことに戸惑いを隠せてはないんやけど、名前は素直に言うことを聞いた。(もしかしてこの子…結構Mなんか?)(俺と相性良すぎやろ)
小さな唇の間から出された舌にちゅ、とキスをしてから、唇で挟み込むようにしてそれを美味しく食べたった。甘噛みしてやると、気持ちええんか、静の身体はびくりと反応した。(可愛い…)
名前の口の端から溢れた、どっちかの唾液を舌で舐めとり、名前の口内に俺の唾液を流し込む。名前の喉が上下するのを見て、なんともいえん快感に襲われた。なんやこれ、こんな絶頂なこと、知らん。
名前は俺が付き合うのが初めてで、手を繋ぐんも、キスするんも、今からすることも、全部俺が初めてや。俺は名前が初めての彼女なわけちゃうけど、本気で好きになったんはもちろん名前だけやから、これからする行為は初めてや。キスも、こんなに気持ちええのんは初めてした。好きな子とキスするんが、こんなに気持ちのええことやなんて、知らんかった。
名前も、気持ちええと、思ってくれてるやろか。
「っ、名前、」
「ふ、や、な、っ、なに」
苦しそうやったから一旦唇から離れて、今度は耳元へ唇を寄せた。くすぐったいんか、感じるんか、身じろぎして名前は俺から逃げようとする。あかん、逃がさんで絶対。
「気持ちええ?」
吐息が耳にかかる距離で囁いたら、「ひあっ」と可愛い声を出して反応した。なんや今のん、めっちゃ可愛いんやけど。色んな反応が見たくて、しばらく意地悪したった。耳朶を舐めたり、耳の形に沿って、ぴちゃぴちゃとわざと音を出して舐めたり。びくびくと反応する静の口からは、反射的に声が漏れまくっとる。
「や、耳、いや、や」
「質問に答えなあかんやろ?名前」
「やあっ、も、ごめんなさ、っ、ん」
「気持ちええ?」
俺ってこんなにSやったっけ、ってくらい、攻めるんが楽しゅうてしゃあない。名前も満更でもなさそうやし、嫌、ではないんやろな。もっと抵抗されると思てたから、ちょっと嬉しい。(されたらされたで、燃えるんかもしれんけど)
「っあ、蔵、すき」
返事にはなってへん代わりに、名前は自ら俺の唇にキスをしてくれた。ちゅ、と触れるだけの可愛いキスやけど、名前からしてくれるとか、初めてのことすぎて一瞬固まってしもた。今ので俺の理性は完全なゼロになった。名前が悪いんやで。
もう、合意とか、今ので得たやろ。
俺は邪魔くさい服をベッドの下に雑に脱ぎ捨てた。夏やから、と、名前のせいで尋常じゃないくらい汗をかいとる。ジーパンで抑えつけられとる俺の雄なんか、今まで見たことないくらい張っとる。もうちょっと、我慢や。と自身に言い聞かせてから、名前の服に手をかけた。
「や、まっ、待って、蔵」
「あかん、待たれへん」
「わ、たし、胸、ちっちゃ、いよ?」
「俺がそれ、気にすると思うん?」
「う…あ、」
「名前の胸やったら、小っこくても大っきくても、どっちでも可愛い」
そう言うて、するりと服を脱がして、ホックをぷつりと外した。大きくはないんやろうけど、小さくもないで。丁度いい、俺にぴったりのサイズやんか。
特別に柔っこいそこを、優しく包み込むように揉んだ。恥ずかしそうにしとる名前の首を少し強く吸うと、「んっ、ぁ」とやらしい声で反応した。
「な、に?」
「ん?キスマーク」
「ふえっ!」
暗くてもわかる程顔を真っ赤にした後、「や、見えるとこ、あかん」とかまた可愛いことをぬかしよるから、今度は絶対に俺にしか見えへん胸の突起のすぐ傍に印をつけたった。
俺のもの、という印が目に見えるようになったことで、独占欲とか支配欲っちゅーんがどんどん満たされていく。好きな女を抱くっちゅーんは、こんなに満たされて、気持ちのええもんなんやと初めて知った。
それからはもう殆ど好き勝手に見える所にもそうでない所にも、俺のもんっちゅー印をつけまくった。こんなん後からの親御さんに見つかったらヤバイんちゃうやろか。でも、学校の連中とか、他の男には見せつけてやりたい、っちゅー気持ちも強くて。名前も口では嫌言うてるけど、本気で抵抗せえへんし、行為の最中も隙を見ては印をつけた。
求める気持ちは溢れてくるばかりで、ほんまに止まらんくて、夢中になった。俺には名前しか見えんくて、きっと名前も俺しか見えてなくて、おかしくなりそうな程気持ち良くて。最初は痛そうにしとった名前も今じゃ俺と同じくらい気持ちよさそうにして、淫らに乱れとる。
俺の種がこんな薄いゴム一枚に阻まれるなんて。いつか避妊具無しでヤりたいわ、とか思いながら、俺は甘い言葉を時折名前に投げかけて、ラストスパートと言わんばかりに雄を深く奥まで打ち付けた。
俺よりほんの数秒先に名前がイッて、それを追うように俺も精子をゴムの中に吐き出した。名前の太股の付け根辺りが痙攣しとるのを俺も身体を通して感じながら、俺達は初めてをまたひとつ経験した。
「あほ!ぼけ!おたんこなす!」
「そ、そない怒らんでも…」
「こんな見えるとこにつけるとかありえへん!」
事後、普通はもっとムードある甘い雰囲気になるんかもしれんけど、どうやら名前さんはご立腹のようや。俺もちょっとやりすぎたかなとは思うけど、ええやんか、キスマークつけたくらいで。俺のもんやっちゅー証みたいなもんやで?
電気を付けて鏡で色んな箇所についたキスマークを確認していく名前は「あっ、ここにも!」「ここも!?」等見つける度少し困ったような、嫌そうな顔をする。…そんな顔されたら傷つくねんけど。(あんな気持ちよさそうにしとったくせに)
「あーわかったわ、もう次からはつけん」
「…や、別につけること事態がいやとちゃうくて、め、目立つとこは避けてほしいっちゅーか、ね?」
名前は俺の策略にまんまと嵌って、今度は俺の機嫌を取りに来る。さっきまで阿保とかおたんこなすとか言うてたのに、ほんま可愛いやっちゃなあ。(全然第2ラウンドいけるんやけどな)
「嫌なんやろ?ありえへんのやろ?名前の嫌がることは俺もしたないし、ええよもう。せえへんよ」
「やっ、やだ、していい!していいから!」
「…ほんまか?」
「ほんま、やから怒らんで…!」
あーもう何この可愛い生き物なんでこんな可愛いんもう一回襲ってええかな!
泣きそうな声で俺にしがみついてくる名前は普通にもう誘っとるとしか思えん。さっきやったばっかやし、もう一回、と言いたい所やけど今日は我慢や。その代わりそうやな…。
「一緒にお風呂、入ろか」
「え、お、お風呂?」
「ん。それでさっきの俺へのおたんこなす発言チャラにしたるわ」
「お風呂って、え、お風呂?」
「…嫌ならええよ。俺一人でシャワー浴びてくるわ」
「や!入る!一緒に入る!頭洗って差し上げます!」
名前は生粋のMやということが分かったところで、俺は名前と一緒にお風呂に入った。そんなん我慢出来るわけない訳で。ついさっきまで今日は我慢とか思ってた矢先、「もう一回シたいねんけど」と名前に要求した。
「蔵のあほー!」
「それもう一回ヤりたいっちゅーこと?」
「ちゃうわぼけー!」
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