「待っ、そこじゃな、ちがうって…!」
「あ、すまん、ええ、どこ…?ここか、」
「いたっ、う、い、痛い!」
「えっ、あっ、」

夢にまで見た大好きな彼との初体験。何度妄想したかわからない。
だから妄想が募りに募って、初めてはロマンチックなムードで、最高のエッチを、って思ってたのに。

さあ本番、ってところでこれだ。全然違うとこに当たってるし、痛いし。流石謙也というかなんというか。きっと何度も頭の中でシュミレーションしたんだろうけど。っていうか、そんな大きいの本当に入るのかな?わたしもわたしで不安になって、緊張して身体が強張ってきた。

「あ、名前、すまん俺…、」

何度も謝る謙也。確かに痛かったのは本当だけど、こんな中途半端で終わる方がもっと嫌。するなら今日、最後までしてほしい。

「謙也、大丈夫だから…きて?」
「っ!!、でも、痛いんやろ…?」
「うん、でもいいの。謙也がくれる痛みだもん」
「だっ、で、でも、」
「だってもでももない、お願い謙也、平気だから」
「…っ」
「一緒に気持ち良く、なりたい」

こんな大胆なことを言ってしまっていいのだろうか。自分で意味もよくわかってないまま口に出してしまったような気がする。心無しかさっきより謙也のが硬くなった気がする。暗いから、わたしの顔が真っ赤なことなんて、わかんないよね。

謙也の汗が、ぽたりと身体に落ちた。精神的発汗かもしれない、わたしも暑くはないのにしっとりと全身に汗を掻いている。

「名前、ほんまに、もらってええんか?」
「…いいよ、あげる」
「俺の、ものにしても、」
「うん、いいの。全部あげる」

そう言って、謙也の首に手をまわした。そしてゆっくりと、だけど確実に、謙也のモノがわたしの中を満たしていく。痛くて、だけどそれ以上に嬉しくて、涙が出た。

「っ、はあ、は、半分、はいったで、」
「んっ、い、一気に、きて」
「…だ、大丈夫か?」
「だ、いじょぶ、だからっ、はやく謙也、っ謙也でいっぱいにして…!」
「お前ほんまっ、可愛いすぎっちゅーはなし、や!」

わたしの望み通り、謙也は残りの半分を一気に奥まで押し込んだ。思わず悲鳴にも似た声をあげてしまう。根元まで飲み込みたい、謙也のを全部、わたしの中に挿入してほしい。その一心で、必死に謙也にしがみついた。

目尻から零れ落ちそうになる涙を、謙也が唇で吸い取った。それから、気持ちよくなるためにゆるゆると腰を動かして。初めは痛かったけど、だんだんと変な感覚になってきて、謙也のが奥に当たる度に気持ち良くて啼いた。

最高に気持ち良くて幸せだったのに、突然目の前が真っ白になって、気が付いた時にはカーテンの向こうは薄明るくなっていた。隣を見ると、爆睡する謙也の、幸せそうな顔。わたしってばもしかして、気失っちゃったの?ええ、どんだけ体力ないんだ。

少し傷んだ金髪の前髪に触れた。わたしの髪より少し硬くて太い。旋毛の方まで見てみると、地毛である黒が少しだけ見えた。黒髪も見たいかも、と思いつつ一人で密かに笑った。

「何笑てんねん」
「!?、け、謙也。起きてたの」
「今起きた」
「え、あ、ごめん」
「身体、大丈夫か?どっか痛いとことか、」
「ないよ、大丈夫。ありがとう」
「そ、そか。なら良かった」

さり気なく、それとなく、わたしに腕枕をしてくれる。わたしも今日は甘えたくて、そのまま謙也に抱きついた。

「ね、謙也」
「ん?」
「すっごい幸せ、ありがとう」
「俺もや」
「夢、いっこ叶ったよ」
「夢?」
「うん、初めては謙也とって」
「…初めてはって、こ、これからも俺だけやろ?」
「あは、どうかな?」
「ああああかん!絶対許さんからな!」
「うそだようそ、夢まだあるもん」
「…な、何?」

「最後の人も謙也って夢」

そう言って鍛えられた胸板に顔を埋めると、謙也もぎゅうっとわたしを抱きしめてくれた。

「あかん、可愛いすぎる」

もうすぐ朝が来るというのに、再びベッドに縫いつけられて、また幸せにしてくれるらしい。妄想みたいに事が上手くいかなくっても、終わりよければ全て良しって言うし。いや、この場合気持ち良ければ全て良しかな?どっちでもいいや、とにかくやる気満々の目の前の彼と一生一緒に居たいと思った。

fin.



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