「…はッ」



――異常だ、コイツ。


嘆息混じりに呟いてやる。
目の前にいる銀髪の男…ダンテに獲物を横取りにされ、気が立ったリヒターは腹いせにダンテに向かって攻撃を仕掛けたが、どうにも返り討ちにされそうな処まで追い込まれてしまった。

「Hey boy、大人を甘く見ちゃあいけないぜ?」

などと、余裕綽々なダンテはにんまりと笑いながらリヒターの剣撃と銃撃を受け流していく。



――腹の立つ野郎だ。



「っるせぇ、毎度毎度俺の邪魔ばかりしやがって」

そうだ、これで8度目だ。
奴に仕事を奪われたのは。
お陰で信用もガタ落ちだ。

「飯も食えねぇで、イライラしてんだよ!アンタさえぶっ殺してしまえば邪魔されることもねぇ」



――だから、死んでくれ!!


狂ったように長剣を振り回すリヒターを呆れた目で追い、背中に回ったかと思うと首筋に手刀を当てる。

「カリカリすんなよ、若ぇんだから」
「誰の、せいだと…思…」

「…は、アンタ、良く見たらそこら辺の女よりイイ顔してるじゃねぇか」



手刀を当てられ、身体が思うように動かないリヒターを舌舐めずりしながら見下ろす。



――コイツ、大分危ない奴じゃないのか…?



「悪魔狩りなんてチンケな仕事してねぇでさ」

リヒターは顎を捉えられ、ダンテの方へ無理矢理向けさせられる。

「俺の物になれよ、飯くらいならたらふく食わせてやるぜ」
「ふ、ふざけんな…!」
「腹、鳴ってるぞ」
「う、うるさ…っ」

鳴っていた事実を突きつけられた事が悔しくて、反論しようとしたが、口付けられてしまい、言葉が途中で途切れてしまった。
恐らくダンテも何を言われたのか分からなかったであろうし、聞く気もなかっただろう。

「ン、ぐ…っ」
「あー、予想通りイイ顔をしやがる」



――男にキスされるなんて、あり得ねぇ…!



口許を袖で拭い、ダンテを睨み付けるが、ダンテには上目遣いで見られているようにしか思えなかった。

「もっとイイ事をしてやろうか?」

ダンテはそう囁きながら、リヒターの身体を引っ張り上げた。




――これで暫くは楽しめそうだな。



獲物

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