「んー…」
「どーしたの、アルエちゃん」
「あ、レイヴンさん」
考え事をしていたら、レイヴンに話し掛けられ、そこで思考を停止させる。
「あの、レイヴンさん」
「ん?」
「胸って、やっぱり大きい方が良いんですか…?」
「ぶほっ」
アルエの口から出るとは思いもしなかった質問を投げ掛けられ、思わず噎せてしまった。
「ど、どったの、急に…」
「え、と、この本…」
と言いながら手渡された女性誌を手に取り、端を折られているページを開いてみる。
所謂読者の体験談を綴った項目なのだろうが、どこもかしこも、“彼氏が巨乳好きで…”云々と書かれていた。
「や、やっぱり男の人って大きい方が好きなのですか?」
と問うアルエの胸を見下ろす。
お世辞にも大きいとは言えない膨らみがそこには備わっていた。
(俺は別に気にしないけど…)
――でも、ちょーっとだけ、意地悪してみようかしら?
「そうねぇ、やっぱ大きい方が良いかしら?色々楽しめるし」
と、軽く言ってやると、アルエの表情が暗くなる。
「そう、ですか…」
(うわ、気の毒になるくらい暗くなっちゃったわ)
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