「あの…」
「なぁに?」
「私の上で何をしているのですか?」
ホテルの一室。
確か今日はリタと同室だったはずなのだが…。
目を覚ますと、レイヴンが馬乗りになっていた。
「いやぁねぇ、アルエちゃん」
ゲラゲラと笑い、アルエを見下ろす。
「俺が上に乗ってたら、やることは一つしかないでしょーよ」
『えぇ、えぇ、それはごもっともですが』
――そうじゃなくて、リタと同室だったはずなのに何故貴方がいるのですか…。
「釈然としない顔してるねぇ」
「いや、だって…」
「細かい事は気にしないで、楽しみましょうか?お嬢ちゃん」
一向に人の話を聞かず、行為に及ぼうとしている。
「早くしないと、リタっちが戻って来ちゃうかもしれないからねぇ」
なんて脅しを掛けられたら抵抗なんか出来ない訳で。
「んぅ…」
「だから、ちょっと我慢してね」
アルエの口に柔らかい布を押し込み、声が洩れないようにする。
更にその上から口を手で塞ぎ、行為に及んだ。
「あ、う――ッ!!」
慣らされずに挿入されてしまい、激痛が走る。
直ぐに律動は開始され、身体をガクガクと揺さぶられる。
「あぐ、ふぅ…ッ」
「可愛い声を堪能したかったんだけどね」
苦笑しながらレイヴンが言う。
要所のみの行為に早くも達しそうになる。
「我慢しないでイっちゃいな。俺も、そろそろ…」
「んぐ、ふぁうっ」
レイヴンの囁きを聞いたと同時に達した。
「あらら…、案外堕ちるの早かったのね」
ぐったりとしたアルエの頭を撫でながら見下ろす。
「一度イっておきたかったけど…時間が無いみたいだわ」
やれやれ、と肩を竦め自分の身なりを整え、未だに気絶しているアルエに布団をかけてやる。
「おやすみ」
最後に口許に口付け、部屋から退出した。
暫く廊下を歩いた所で不機嫌そうな表情をしたリタとすれ違う。
「あらら、リタっち不機嫌そうねぇ」
そうからかってやると、鋭い目付きで睨まれてしまった。
苦笑して肩を竦めるフリをし、おやすみと声をかけてからその場を後にした。
――あーあ、一人でヌくしかないじゃないのよ。
(情けないったら、ありゃしない)
(と、いうかまさかヴァンジーロストがこんなところで役に立つとは思わなかったけど、寝ぼけさせた的な意味で)
夜襲