「騙していたの?」
「……」
「どうして、何も言わないのです?」
「すまない」
「謝罪なんて要りません、騙していたのかどうか。それだけ聞かせてくれたらそれで良いです」
「……」
まさかレイヴンがアレクセイに通じていただなんて、思ってもいなかった。
シュヴァーン隊長であると言うことも。
別に騙したとか、そうじゃないとかそんなことは正直どうでも良かった。
ただ、何かしら考えていたであろうことを、何も相談してくれなかった事が悲しかった。
信頼されていなかったのでは?という思いだけが増していた。
「どうして何も言ってくれないのですか?」
「それは…」
「信頼なんてしていなかったから、ですか?」
「…!?」
「愛してる、大好き、だなんてただの言葉遊びでしかなかったのでしょうね…貴方にとっては」
「それは違う…」
「もう、良いです、アレクセイと通じていようが、もう何でも良いです」
――嘘つきなんて嫌い。貴方なんか、大嫌い。
(本当は好き、でも、もう何を信じたら良いのかわからない)
(アルエちゃんだけには心配なんて掛けたくなかった、なんて今更言っても信じて貰えないのだろう)
大好き、でも嫌い