「…私何しているんだろう」
ぼんやりと両腕を束ねているリボンを見つめながらアルエがごちる。
シュヴァーンの部屋に入ると、いきなりシュヴァーンに首根っこを掴まれ、ベッドへと放り投げられた。
両腕をリボンで束ねられ、足をベッドの柵に繋がれて。
一体なんの冗談かと疑った程だ。
シュヴァーンはアルエを拘束すると、さっさと部屋から出ていってしまい、アルエが一人部屋に取り残された状態だった。
「シュヴァーンさん、何の冗談ですか…」
「冗談でこんな事をすると思うか」
いつの間にか戻ってきていたシュヴァーンがアルエの独り言に反応をした。
「い、いつから…!」
「今だ」
「いや、そんなことよりも何でこんな…っ」
何故自分がこんな状態になっているのか説明を促す。
「アルエが言ったんだろう?」
「…え?」
シュヴァーンがベッドへ座り、ぎしり、とベッドがシュヴァーンとアルエの体重により軋む。
アルエの顔の横に両手をつき、上から見下ろされる。
「バレンタインプレゼント、何でも用意します、とね」
――そういえばそんなことを言った気がする。
「で、でもあれは…」
必死で弁解しようとすると、シュヴァーンがアルエの髪を一房手にとり、口付けをする。
「だから俺はアルエを選んだ。…何でも差し出してくれるのだろう?」
――それならば、アルエの全てを差し出して貰おうではないか。
何故私は此処に?