(じー…)
「な、なに?どうしたのアルエちゃん」
「えっと、ですね…」
レイヴンをじっと見つめていたと思ったら、急にレイヴンの髪を触りだしたアルエ。
「え、おっさんの髪に何かついてる?」
「や、下ろしてる時と結っているときの髪の長さと多さが合ってない気がして…」
「あ、そ、そう…」
「レイヴンさん、かつらでも被っているんですか?」
「だ、誰がかつらを!!いくらおっさんでも、ハゲてはないわよ!」
「だって、実際に合ってないですし…あ!」
ズルリ
鈍い音を立てて、レイヴンの髪の束が落ちる。
『ひ、ひぃーっ!俺様の毛が!!これで俺様もハゲの仲間入り!?』
「レイヴンさん、やっぱり」
「それ以上言うな!頼むから言わないでー!」
……
「ぎゃああああ!!…あれ?」
突然叫んだかと思うと、自分の後頭部に触れ、間の抜けた声をあげる。
『髪、ちゃんとあるじゃないの…』
等と思いながらキョロキョロと周囲を見渡して、一息つく。
「…何よ、夢オチじゃないのよ」
(でも、夢で良かったー!)
「おっさん、うるせぇぞ」
「あ…、ごめんね若人、おっさんも叫びたい時があるのよ」
「近所迷惑だっつの…」
不一致