「あー、やっぱ、アルエちゃん温かいわあ…」
落ち着くだの、柔らかいだの、好き勝手な事を言いながら抱き着いてきたレイヴンを引き剥がそうとアルエがもがき始める。
「苦しいですって、…ひっ!レイヴンさん身体冷たすぎ!寒いですっ」
「そーお?んじゃー」
がばり、とアルエの身体を全身で覆いながらカーペットの上に押し倒す。
と、それと同時に除夜の鐘が鳴り出す。
「お、丁度良いんじゃなーい?」
「何がですか!お、重い…」
何がと問うと、レイヴンはアルエの耳許に口を寄せ、
「姫はじめ」
と囁くと耳朶を軽く噛んだ。
「んや…ッ、何考えて…!」
「互いに寒そうだし、丁度良いでしょ。それに、姫はじめなんてやった事無かったし」
去年一年頑張ったご褒美。
だと妙なことを言われたって、到底納得など出来るはずもない。
「こんな事される為に来たわけじゃ…っ」
「あら、そう?おっさんはする為に呼んだんだけどね」
なんて事を言うんだと、思わず手が出そうになったが、寸前の処でレイヴンに両腕を捕まれ、阻止されてしまった。
除夜の鐘の音が始まりの合図