「ぼっちさーん」
「ぼっち言うな」
「本当の事じゃん」
「あのな、俺はぼっちなんじゃなくて、孤高なの。わかる?一匹狼ってやつ」
また、訳のわからないことを言い出したものだとセラは肩を竦める。
周りから警戒されて近寄られないのをぼっちと言わずに何と言うのだろうか。
彼は何処からそんな自信がくるのか、自信満々に孤高だと言い張る。
そんな、印象の良さそうなものでは決してないのだと思うのだが。
「一匹狼というか、あっちこっちに媚びを売る蝙蝠みたいじゃない」
「それ、何気に傷付くわー。俺だってやりたくてやってるわけじゃねーの」
――とか言ったけど、結構その通りなわけで。なっさけない話だが。
「へー」
「信じてなさそうだな」
「アルヴィンが自分の身を守る為以外にそんなことしそうにないし」
「…あぁ。そうだな」
――あら…?
あっさりと自分の言い分を認められ、拍子抜けしてしまった。
だが、アルヴィンは何処か寂しそうな表情をしていて…。
――何でだろ…。
いつも裏切ってばかりで、信用を無くしてるはずなのに。
アルヴィンは、裏切ったって、此方のことなど一つも考えていなさそうだったのに。
――考えすぎ、かな?
――こいつらの為に、なんて今まで考えたことはなかったのに。
(何故、見捨てられなかったんだろうな)
ぼっちじゃなくて孤高なんだよ