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目的地であるキングズクロス駅に着き、躊躇うことなく9と3/4番線に向かう。
その途中で、これから先必ず会いそうな人―シリウス・ブラック―を見かけたけれど、初対面だし私が一方的に知ってたら気持ち悪いだろう、って事で無視することにした。
「さて、どうするかな…」
ホグワーツ特急の前に来たは良いものの、ケースが大きくて乗らない…。
勿論、周りに頼れるような大人は居なくて、ちょっと泣きそうになった。
「大丈夫かな?お嬢さん」
背後から聞こえた、少し甘みを含んだその声。
まだ声に若さがあるものの、その声の主は容易に想像がついた。
「すみません、上手く上がらなくて…」
困ったようにして振り返れば、其処に居たのは紛れも無くルシウス・マルフォイ。
「こんなに大きな荷物を、レディが上げるのはそう容易い事じゃない」
安心して、というように腰に手を添えられ支えられた。
…うん。なんかぞわってしたよ…。この人苦手かも…はぁ…。
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