06

うーん…反応はよかったんだけど、やっぱり収穫にはならなかったかあ……。
そんなこと思いながら皆がいるであろうところに行くと、そこには人の姿がまばらで、そんなに見てる人もいなかった。


(あちゃー……こっちも失敗した感じかー……)


そう思いながら近寄ると、いづみさんが見覚えのある少年の方に近寄って行って話している姿が見えた。
なんだろう……勧誘しに行ったのかな……?


「アンタがいるなら……入る」


「え!?」


「やったー!一人ゲット!」


話が聞こえる位置まで行けば、何やらいづみさんがいるということ前提で、入団希望者らしい。


「本当?真澄くん!?入ってくれるの!?」


……真澄?


「お前はどうでもいい」


「そ、そうかもしれないけど、うれしいよ!」


喜んでる咲也を見て、入団希望の真澄を見ると、やっぱり私が見知った真澄だった。


「やっぱり、真澄か」


「……!ありささん……!ありささんもこの劇団の関係者?」


「うん、私は演出担当。入ってくれるなら嬉しいな」「アンタとまた一緒に過ごせる……これはもう運命……」


「いやいや、話飛びすぎだから」


真澄が前と変わってなくて私は思わず苦笑いする。


「ありささんと真澄くんは知り合いなんですか?」


「私が花学通ってた頃懐いてた後輩だよ」


まあ、っていっても去年の話なんだけどね。


「え、ありささん花学だったんですか!?」


「もう卒業したから、咲也の一個上だよ」


ほえー……って感心してる咲也に笑いかけると、わかりやすく拗ねる真澄に苦笑いする。


「じゃあ、さっそくで悪いけど、ストリートACTに参加してもらえるかな?」


「何すればいい?」


「適当に話を合わせてくれるだけでいいから」


「思いついたことでお芝居して」


「わかった」


そう言って咲也たちの輪の中に入れる。
器用な子だから即興でもすぐ溶け込めて、呑み込みが早い。頭のいい子だから、回転も早いし芝居向きのいい動きをしてる。


「……今のでいい?」


「え?」


急にいづみさんのところに行って確認する真澄。


「今の感じでいい?」


「う、うん、いいから、お芝居を続けて」


「わかった」


あれは真澄、いづみさんのこと気に入ってるな……?
かまって欲しい子供のようで可愛いけど、最初は戸惑うんだよなあ……。なんて思ったりして。
私の方にも来ようとしたけど、手であっちに戻りなさいとすると、少し落ち込んだように皆の元に戻った。
これはいづみさん大変なことになりそうだ。なんて、少し笑ったりして。



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