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舞台が好きだ。
芝居が好きだ。
だから私はこのビロードウェイが好きだ。

大きな劇団から小さな劇団まで揃ってるこの町には、私にとって宝物がいっぱい詰まっている。


ただ今、この現状を除けば。


「役者は一人!あとわけわかんない鳥!くそみたいな脚本!こんなんで演出もくそもできるわけないじゃん!」


「そ、そこをなんとかありさちゃんの力で…」


「まずはこのくそみたいな台本どうにかしろって言ってんだよ!」


「は…はいぃぃ…」


ただいま我らが劇団、MANKAIカンパニーは窮地です。
恐ろしい額の借金に、怖いお兄さんは連日来るし。ほんと勘弁してくれ。


「お遊戯会じゃないの!これは立派な劇なの!板の上なの!それだけの素晴らしい本が上がってきてくれないと困るの!わかる!?」


「おっしゃる通りで…」


私はこの劇団の支配人…松川伊助に説教する23歳。5歳年上とか知るか!今ここでこの劇団の存続がかかっているんだから。


「しかし、私にはこれが限界で…」


「脳みそまで凝り固まってんのかこの支配人は!」


「ひいぃぃぃ!!」


脅える支配人には悪いが頭を抱えたいのはこっちだ。
確かに台本丸投げにしたのは悪い。私からも口を出すべきだったと今では後悔している。まさかこんな学芸会レベルの本が届くだなんて思ってもいないじゃない。
これでは演出のくそもできない。私はリアルに頭を抱えた。


「あ、あの!僕にできることがあれば何でも言ってください!」


そう言ってきたのはつい昨日入ってきた佐久間咲也。


「役者の勢いだけじゃどうにもならないし、そもそも咲也一人で舞台立ったことないし、経験値が浅い。それでこの本に色付けようったって無理なことに決まってるでしょ」


「あ…はい…」


厳しいことを言ってるのは重々把握しているけれども仕方ない。
それほどの窮地なのだから。



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